記事のポイント
- サラヤの「ウォシュボン」は自然由来の成分にこだわった薬用ハンドソープ
- 売上の1%をアフリカ・ウガンダの手洗い普及活動に寄付する
- 「手を洗う」習慣を広めることは、サラヤ創業の原点につながる
サラヤの「WASHBON(ウォシュボン)」は、自然由来の成分にこだわった薬用ハンドソープだ。売上の1%を、アフリカ・ウガンダの手洗い普及活動に寄付する仕組みも付与する。広報宣伝統括部の伊藤麻衣係長は「手を洗う」習慣を広めることは、サラヤ創業の原点でもあると語った。(オルタナ副編集長=長濱 慎)
※サラヤの「ウォシュボン」は、オルタナとサステナ経営協会が共催する「サステナブル★セレクション2024」の三つ星に選ばれました。次回の一つ星エントリーは、2025年1月14日まで受け付け中です。エントリーフォームはこちら
※「サステナブル★セレクション」とは、サステナブル(持続可能)な理念と手法で開発された製品・サービスを選定し推奨する仕組みです。
一つ星(★)は、製品・サービスが、持続可能な社会づくりに貢献していることを表します。
二つ星(★★)は、★に加え、企業・組織がサステナブル経営に取り組んでいることを表します。
三つ星(★★★)は、★★の中から特に大きな社会的インパクトを生み出していることを表します。
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■ 日本の衛生向上に貢献した歴史を受け継ぐ製品
――WASHBON(ウォシュボン)というネーミングには、どのような意味が込められているのでしょうか。
伊藤:その前に、サラヤの歴史を紹介させてください。日本ではじめて液体式の薬用石鹸を開発したのはサラヤで、創業年の1952(昭和27)年のことです。当時は終戦から7年。国内の衛生環境は劣悪で、現在では当たり前の「手を洗う」という習慣も根付いておらず赤痢が流行していました。
こうした状況に対して、創業者の更家章太(さらや・しょうた)が、手洗いと同時に殺菌 ・消毒ができる液体式の薬用石鹸を送り出したのです。これが据付型のディスペンサーとともに学校などに普及し、日本の衛生環境の向上に大きく貢献しました。
そして日本が豊かになり、手を洗うことが当たり前になった1981年、ワンランク上の手洗いを届けたいという想いから、ウォシュボンというブランドが立ち上がりました。ネーミングは英語で「洗う」を意味するWASHに、フランス語の「良い」を意味するBONを組み合わせたものです。
サラヤは「世界の衛生・環境・健康に貢献する」をパーパスに掲げており、液体式の薬用石鹸は創業の原点といえます。ちなみにそれまで薬用石鹸といえば業務用がメインでしたが、ウォシュボンは当初から家庭用も展開していました。
■ 企画・開発・製造・研究を自社ワンストップで行う強み
――ウォシュボンの特徴を、改めて教えてください。
伊藤:ウォシュボンは着色料、合成香料、防腐剤、合成界面活性剤は一切使っていません。植物由来の洗浄成分を使用し、香りの演出は天然精油100%です。天然素材も創業以来のこだわりで、その原点は更家章太が自然豊かな三重県・熊野市で育ったことにあります。
ウォシュボンは殺菌・消毒といった機能に加えて、使い心地の良さも追求しました。泡を手に取ったときのモコモコフワフワ感や、すすいだときの爽快感はとくにこだわったポイントで、成分の配合バランスなどのテストを繰り返し行いました。
さらにプレミアム感を追求した上級シリーズの「ウォシュボンプライムフォーム」では、手を洗えば洗うほど香りが立つようにしています。おかげ様で「敏感肌でも安心」「手を洗う時間がリフレッシュになる」といった声を多くいただいています。
――ウォシュボンに限らずサラヤ製品全般に言えることですが、リユースの促進によるプラスチックごみの削減にも取り組んでいますね。
繰り返し使っていただけるよう、詰め替え用を用意しています。そのためにもパッケージは、部屋のインテリアにマッチして長く手元に置いておきたくなるデザインにしました。その結果ゴミの削減だけでなく、リピーターのお客さまを増やすことにもつながっています。
全ラインナップのパッケージに再生樹脂を使っていることも、ウォシュボンのこだわりです。薬用ハンドソープの容器として通用する品質を担保した上でコストを抑えるのは高いハードルでしたが、製造部門や研究部門とも連携して課題を克服しました。
サラヤは製品の企画・開発だけでなく製造・研究も自社で行っており、各部門が密に連携できることは強みかもしれません。こうした地道な取り組みに加えて愛用するお客さまが増えたことで、ウォシュボンはワンランク上の要素を盛り込みながらも町のドラッグストアに流通・購入できる価格帯を実現できました。
■ 70年前の日本と似たウガンダの衛生向上にも貢献
――売り上げの1%を、アフリカ・ウガンダの手洗い普及活動に寄付する活動にも取り組んでいますね。
伊藤:「100万人の手洗いプロジェクト」は、創業60周年記念事業として2010年にスタートしました。ウガンダの衛生環境はちょうどサラヤ創業当時の日本と似ており、手を洗う習慣が根付いておらず、水や手洗い設備などのインフラ整備も課題となっています。
5歳未満児の死亡率は1000人あたり55人(日本は2人)で、手洗いさえすれば救える命も少なくありません。そこでウォシュボンを含む衛生商材の売り上げの1%(メーカー出荷額)を公益財団法人日本ユニセフ協会に寄付することで、ユニセフがウガンダで展開する手洗い普及プログラムを支援しています。
目指すのは一方的な支援ではなく、ウガンダの人々が自立することです。サラヤは現地法人SARAYA East Africaを設立し、薬用石鹸やアルコール手指消毒剤の現地生産を行っています。アルコールは主に院内感染防止に使われており、医療従事者への教育・普及活動にも取り組んでいます。
――ウォシュボンやウガンダの手洗いプロジェクトに対しては、どのような反響がありますか。
伊藤:「使い心地がさっぱりしている」、「他にはない香りを手軽に購入できるのが嬉しい」といった声のほか、パッケージのデザインが洒落ているとSNSで取り上げていただく機会も増えています。
「サラヤの製品だから選んだ」というお客さまもいらっしゃいます。これは「ヤシノミ洗剤」を通したマレーシア・ボルネオ島の環境保全など、サラヤのモノづくりに対する共感が広がっている証ではないかと考えています。
全国のスタジオで採用したABCクッキングスタジオのように、サステナブルな商品やサービスを求める企業からの関心も高まっています。「SDGsに関連した製品の棚を作りたい」といった理由で、ウォシュボンを置くドラッグストアやスーパーも増えています。
ウガンダのプロジェクトについては、学校から取り組みを話してほしいと講演の依頼をいただく機会が多くなりました。手を洗うことはお子さまにとって身近なトピックなので、社会問題や環境問題に関心を持つ最初の一歩になりやすいのでしょう。
近年はサラヤが取り組んできたことが「環境」や「エシカル消費」といったキーワードで世の中の価値観にマッチするようになり、明らかに時代の波が変わっていると感じています。
※サラヤの「ウォシュボン」は、オルタナとサステナ経営協会が共催する「サステナブル★セレクション2024」の三つ星に選ばれました。次回の一つ星エントリーは、1月14日まで受け付け中です。
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