気候変動で世界の「干ばつ」地域が拡大、1年で九州の面積に

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記事のポイント


  1. 気候変動の影響で、世界の「干ばつ」地域が拡大していることが明らかに
  2. 拡大ペースは急速に早まり、1年間で九州規模の面積が新たに干ばつに
  3. 米ロスアンゼルスの山火事など、干ばつは深刻な被害をもたらしている

欧州の研究者らはこのほど、気候変動の影響で世界の「干ばつ」地域が増加している実態を明らかにした。特にモンゴルやアメリカ西部などで拡大ペースが早まり、1年間で九州規模の面積が新たに干ばつ化している。干ばつは米ロスアンゼルスで猛威を振るった山火事の主因でもあり、深刻な社会的・経済的損失をもたらしている。(オルタナ編集部=松田大輔)

欧州の研究者らはこのほど、気候変動の影響で世界の干ばつ地域が拡大している実態を明らかにした。科学雑誌「サイエンス」で発表した。

研究者らは、主に気温や降水量、植生の変化に関するデータを用いて、1980年から2018年に世界で起こった1万3千件以上の干ばつについて調べた。その結果、過去40年間で、干ばつが南極大陸以外のすべての大陸で広がったことがわかった。

特に深刻化したのは、モンゴルやオーストラリア南東部、アメリカ西部だ。調査したなかで最も長期にわたったのはコンゴ盆地東部で、干ばつは2010年から2018年にわたって続いた。

中でもアフリカの状況は深刻だ。2020年代に入ってからアフリカ東部のソマリアやエチオピアをはじめ、ザンビアやマラウイといった南部の地域などで大規模な干ばつが起こり、食料・水不足に陥った。暴力や児童労働などにつながるリスクもあり、人道支援を必要としている。

論文の主著者で、スイス連邦森林・雪氷・景観研究所のリアンツィ・チェン博士研究員は、「こうした干ばつの面積が年間どの程度増加しているかというと、スイスの面積とほぼ同じだ」と米ブルームバーグ誌に語った。日本でいえば、九州とほぼ同じ面積で、毎年新しく干ばつが拡大していることになる。

24年1月に米ロスアンゼルスで壊滅的な山火事をもたらした主因も干ばつだ。自然災害による経済的損失としては過去最大となる見込みで、米気象情報会社「アキュウェザー」は1月上旬、被害額が最大で1500億ドル(約24兆円)に上ると推計した。干ばつ拡大の原因である気候変動に対して、国際的な対策が急務とされる。

matsuda daisuke

松田 大輔

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #サステナビリティ

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