第2次トランプ政権: 企業こそが守るべき気候・人権・ダイバーシティ

記事のポイント


  1. トランプ新大統領は環境規制やDEI推進、移民政策を覆す方針だ
  2. 特に性的マイノリティ、難民、気候難民などは守られるべき存在だ
  3. 企業はトランプ大統領に言動に惑わされず、社会的責任を果たすべきだ

2025年1月20日(現地時間)に就任したドナルド・トランプ新大統領はこれまでの環境規制やDEI(Diversity, Equity & Inclusion=多様性、公平性、包摂性)推進、移民政策をすべて覆す方針だ。ただ性的マイノリティ、難民、気候難民は政権にかかわらず守られるべき存在だ。国を問わず企業はトランプ大統領の言動に惑わされず、社会的責任を果たし続けるべきだ。(オルタナ編集長・森 摂、副編集長・吉田広子)

大統領令に署名するトランプ大統領(ホワイトハウスの中継から)
大統領令に署名するトランプ大統領(ホワイトハウスの中継から)


■ パリ協定を離脱、EV義務化は終了へ

トランプ大統領は就任後、バイデン前政権による政策を撤回する78の大統領令に署名した(20日時点)。主に前政権の環境規制、DEI推進政策、移民政策を覆すものだ。

大統領令とは、連邦政府機関に対する命令だ。法的拘束力を持つが、議会の立法措置や連邦最高裁の判決で、無効化される可能性もある。

トランプ大統領は、前大政権を「気候過激主義」と呼び、環境政策の転換を進める。就任演説では、「ドリル、ベイビー、ドリル(化石燃料を掘って、掘って、掘りまくれ)」と声を上げた。

まずパリ協定から離脱する大統領令に署名した。国連駐在の米国大使に対し、離脱に関する正式な書面を直ちに提出することを命じた。合わせて気候資金の拠出も停止する。

米国は第1次トランプ政権でパリ協定から離脱したが、バイデン前大統領が復帰した。だが、離脱の手続きには最低でも1年は掛かると見られる。

さらに、グリーン・ニューディール政策を終了し、EVの義務化も取り消す。インフレ抑制法やインフラ投資・雇用法を通じて割り当てられた資金の支出を直ちに一時停止し、プロセスやポリシーを見直すとした。

前政権が創設した人材育成プログラム「気候部隊」も廃止する。

(この続きは)

■ 「人種やジェンダーの多様化を終わらせる」
■ 企業にとってESGやDEIの責任は続く
■ 取り消したバイデン政権の政策一覧

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yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #ビジネスと人権

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