酷暑による欧州の死者は2099年までの84年間で230万人純増に

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記事のポイント


  1. 温暖化による欧州の死者は、2099年までの84年間で約230万人増加する恐れ
  2. 欧州の研究者らが、854都市の状況を分析し、科学雑誌で発表した
  3. パリ協定の目標を達成することで、犠牲者を3分の2以上減らせる可能性も

英国やスペインなど欧州の科学者ら16人は、温暖化による欧州での死者数が、2015年から2099年までの84年間に約230万人増加する恐れがあると警鐘を鳴らした。欧州854都市の気候シナリオを分析し、科学雑誌「ネイチャー・メディスン」で発表した。気温の上昇幅を「1.5℃」に抑えられれば、死者者を3分の2以上減らせる可能性があることも示した。(オルタナ編集部=松田 大輔)

英国やスペイン、イタリアなどの科学者ら16人は、温暖化が現在のペースで進行した場合、2015年から2099年までの間に、酷暑による欧州の死者数が約230万人増加する恐れがあると報告した。欧州854都市の気候シナリオを分析し、科学雑誌「ネイチャー・メディスン」で発表した。

特に、バルセロナやマドリード、ローマなど、地中海地方の都市で犠牲者が大幅に増えると警鐘を鳴らした。酷暑の影響を受けやすいのは、高齢者や持病を持つ人などだ。最近でも、2022年に欧州を襲った熱波では、6万人以上が犠牲になったとされる。

北欧に位置するノルウェーやアイルランドでは、厳しい寒さが和らぐことで、死亡者数が若干減少に転じるとした。しかし、南欧などでの暑さがより過酷になるため、欧州全体では温暖化による犠牲者数が大幅に増加するという。

英イースト・アングリア大学の気候科学者ティモシー・オズボーン教授は、「率直に表現すると、寒冷な気候の減少が人命を救うよりも、酷暑の増加はより多くの犠牲者を生み出すことになるだろう」と英ガーディアン紙に語った。

犠牲者を減らすためには、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」の達成がカギとなる。科学者らは、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前と比べて「1.5℃」に抑えられれば、欧州の死者数を3分の2以上減らせる可能性があると示した。

matsuda daisuke

松田 大輔

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #脱炭素

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