記事のポイント
- CDPのシュリー・マデーラCEOが日本のGX推進団体のアドバイザーに就任した
- 日本政府はGX政策で今後10年で官民150兆円規模のGX投資の実現を目指す
- CDPのマデーラCEOらの力を借りて海外の機関投資家などにアピールする
企業の環境評価を行う非営利団体CDP(本部:英ロンドン)のシュリー・マデーラCEOが日本のGX(グリーントランスフォーメーション)推進のアドバイザーに就任した。日本政府はGX政策によって、今後10年で官民150兆円規模のGX投資の実現を目指す。CDPのマデーラCEOらの力を借りて海外の機関投資家などにアピールする。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

CDPは企業に森林や水など環境対応に関する質問書を送り、その回答結果を基に格付けを行う非営利団体だ。2024年には、2万4800社以上の企業と1100以上の自治体がCDPの 質問書を通じて環境情報を開示した。世界の運用資産の4分の1以上を保有する金融機関は、CDPによって開示した情報を参考に投資や融資の意思決定を下している。
ESG領域でグローバルに影響力を持つCDPのマデーラCEOが1月30日、日本のGX推進機構(脱炭素成長型経済構造移行推進機構)の「グローバル・アドバイザリー・カウンシル」のアドバイザーに就任した。同カウンシルは、同機構が国際的なネットワークの強化を目的に設立した。
GX推進機構は、経産省が2024年7月に立ち上げた組織だ。今後10年間で官民150兆円超のGX投資を実現することを目的に掲げる。
■マスターカードの公共政策を担当した経歴も
CDPのシェリー・マデーラCEOはサステナブルファイナンス、環境データ、公共政策を専門とする、サステナビリティ分野のオピニオンリーダーだ。CDPに着任する前は、サステナブルファイナンスを支援する国際組織「フューチャー・オブ・サステナブル・データ・アライアンス(FoSDA)」の創設者兼議長を務めた。マスターカードの公共政策担当シニア・バイス・プレジデントを務めた経歴を持つ。
金融や外交の場で活躍しており、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)、シティ・オブ・ロンドン、在北京英国大使館での役職を歴任し、ソンドレル社、ノッティンガム大学の非常勤理事も務めた。
マデーラCEOは、グローバル・アドバイザリー・カウンシルのメンバーとして、日本のGX政策に関する戦略的アドバイスを提供する。国際的な発言力を強化し、海外の機関投資家にアピールすることが狙いだ。
マデーラCEOは、「世界第4位の経済大国であり、主要な工業大国である日本にとって、低炭素への移行は地球環境の進歩にとって不可欠だ。科学的根拠に基づいた排出目標に取り組む企業は他国よりも多い。日本の野心的なGX政策を支援していきたい」と話した。
グローバル・アドバイザリー・カウンシルのメンバーには、インパクト投資の支援組織、グローバル・インパクト・インベスティング・ネットワーク(GIIN)のアミット・ボウリCEO兼共同創設者、国際機関OECD(経済協力開発機構)のグリーンファイナンス・インベストチームリーダーであるロバート・ヤングマン氏らが参画する。