CG の方向性、国際学会で白熱議論(2)【企業と社会の関係】

齊藤紀子さん

齊藤 紀子(企業と社会フォーラム(JFBS)事務局長)

9月19日に開催されたJFBS 第3回年次大会兼国際ジョイント・カンファレンス企画セッションでの、日本企業のコーポレート・ガバナンス(CG)を巡る議論について紹介します。

まず宮島英昭教授(早稲田大学)より、日本企業の統治構造が従来の「法人による持ち合い、内部者中心の取締役会、長期雇用」から多様化してきており、大きく次の3 類型に分類されることが報告されました。

(1)従来型の伝統的日本企業
(2)(市場による所有、委員会設置会社、または監査役並存・社外取締役、長期雇用という)日本型と欧米型のハイブリッドタイプ
(3)(経営者による所有、創業経営者=取締役、有期雇用という)新興企業

それぞれが抱える課題も処方箋も異なるため、それぞれに対応する企業統治改革が求められること、そのとき、義務化よりも企業の自発的革新が望ましいこと、企業自らが取締役会の性格を特定すること(マネジメントボードの維持か、モニタリングボードへ移行するのかを選択すること)が重要であることが指摘されました。

中山泰男氏(セコム)は、企業の中長期的価値を重視してマネジメントボード型/モニタリングボード型の選択を行うべきと指摘しました。企業の持続的発展には、企業と社会の両方に中長期的な価値向上をもたらす企業経営が求められます。

外部環境の変化に対して柔軟で迅速な意思決定ができるよう、業務執行と監督が切り離され全体最適な戦略立案ができる欧米型、かつダイバーシティに富む取締役会が望ましいのではないか、という考えが示されました。

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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