記事のポイント
- ソーシャルベンチャーが、プラ容器の水平リサイクルで子ども食堂と連携
- 子ども食堂は24年に1万カ所を超えるも、容器などリソース不足の課題も
- 環境問題への貢献とともに、全国の子ども食堂の「防災拠点」化を目指す
社会課題に取り組むベンチャー企業・Ripples(リップルス、東京・渋谷)は、子ども食堂へのプラ容器の寄付と、その容器の水平リサイクルを推進する。子ども食堂は2024年に1万ヵ所を超えるも、食料や容器などリソース不足という課題もある。プラ容器の水平リサイクルで環境問題の解決に貢献するとともに、全国の子ども食堂の「防災拠点」化を目指す。(オルタナ編集部=松田 大輔)
リップルス、ヨコタ東北(山形県新庄市)、特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター「むすびえ」(東京・渋谷)の3組織はこのほど、子ども食堂へのプラスチック容器の寄付と、その容器の水平リサイクル推進を目指し、連携協定を締結したと発表した。
リップルスが枠組みをつくり、むすびえに提案して実現した。リップルスは寄付時の流通など実務を担当する。ヨコタ東北が担うのは、プラスチック容器の製造や水平リサイクルだ。
むすびえが展開する子ども食堂は、2024年に1万ヵ所を超えるなど、増加の一途をたどっている。他方で、食料や容器、資金が不足するなど課題もある。今回の取り組みでは容器不足といった課題とともに、水平リサイクルで環境課題の解決も目指す。
水平リサイクルとは、使用済みの製品をリサイクルし、再び同じ製品として利用することだ。製品を廃棄せずに循環させるため、生産・廃棄時に生じるCO2の排出量削減にもつながる。半面、回収時に異物が混入したり汚れが付着したりすると、水平リサイクルした後に品質が悪化するといった課題もある。
ヨコタ東北が製造する「はがせるトレーP&Pリ・リパック」では、プラスチック容器を使用後、容器の表面に貼ってあるフィルムをはがして回収する。きれいな状態で容器を回収でき、水平リサイクルの回収課題の解決につながる。
同製品は、フィルムをはがせば再利用することもでき、水で洗わなくても済むため、災害時に役立つとされる。すでに能登半島地震や埼玉県八潮市での道路陥没の際にも活用された。東京オリンピック・パラリンピックなど、各種イベントでも採用実績を持つ。
リップルスの原田雄司取締役は、「水平リサイクルのプラ容器をふだんから使っていれば、いざ震災があった時でも炊き出しなどですぐに活用できる。全国の子ども食堂を、地域の防災拠点にできる」と話す。
原田取締役は続けて、「水平リサイクルした容器は、エコマークを取得して再販売する。そこから生じた利益の一部を、こども食堂への支援につなげたい。まずは数百から1000程度の子ども食堂と連携を進め、1カ月50万個程度のプラ容器の寄付を目指す」と意気込みを語った。