EUが強制労働製品を禁止へ、日本企業も対応求められる

オルタナ80号(3月下旬発行予定)・連載「欧州CSR最前線」53

記事のポイント


  1. EUは2024年11月「強制労働製品禁止規則」を採択した。
  2. EU市場でビジネスを行う企業はデュー・ディリジェンスの強化が求められる
  3. 規制を企業価値向上の機会として、主体的に取り組む必要がある

EU理事会(閣僚理事会)は2024年11月19日、「EU強制労働製品禁止規則」を採択し、強制労働による製品のEU域内での流通および輸出を禁止した。本規則は同年12月12日にEU官報に掲載され発効し、2027年12月から適用となる。

本規則の目的は、強制労働によって製造された製品のEU市場への提供・上市およびEU市場からの輸出を禁止することだ。これにより、強制労働製品の流通を防ぎ、EUの内部市場の機能を改善するとともに、強制労働撲滅への貢献を目指す。

本規則は業界を限定せず、製品の種類や原産地、販売方法を問わない。抽出、収穫、生産、製造のいずれの段階でも強制労働が関与している製品は規制対象となる。児童労働や国家当局による強制労働、オンライン販売を含むすべての流通形態も含まれる。

違反の可能性はリスクベースのアプローチで評価され、企業はサプライチェーン全体におけるデュー・ディリジェンスが求められる。

さらに、強制労働リスクを把握するためのデータベースが設立され、情報の共有や違反の通報を容易にするため、情報提出ポイント、データベース、ガイドラインなどのツールも提供される。中小企業への支援策も用意されており、適切なコンプライアンス対応を支援する仕組みが整えられている。

企業はサプライチェーン全体における強制労働のリスクを特定し、製品の抽出、収穫、生産、製造などの各段階においてリスクを評価し、デュー・ディリジェンスを実施する必要がある。

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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キーワード: #ビジネスと人権

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