その具体的商品の一つとして、福島産の和梨を使用した缶チューハイ「氷結和梨」が紹介されました。福島産農作物に関する風評被害の問題を踏まえ、応援消費の促進を目的として開発された本商品は、期間限定商品として3カ月間販売予定でしたが、とくに東北地域の消費者にとって評判が良く、約1ヶ月で販売目標を上回ったことが報告されました。

今津秀紀氏(凸版印刷トッパンアイデアセンターコーポレートコミュニケーションチーム課長)からは、B to B企業としての同社の取り組みが紹介されました。CSRレポートの製作をはじめCSRコミュニケーションビジネスを行う同社では、自ら高い品質のCSRを果たすことが求められるとして、CSR方針「トッパンビジョン21」を策定し、国連グローバル・コンパクトへの参加やISO26000に基づくCSR活動などの取り組みを進めています。

コミュニケーション・ターゲットをCSRの専門家と株主に定めており、FTSE4goodやグローバル・コンパクト100インデックスに選定されたり、Newsweek誌による企業の社会的責任ランキングで10位になったりした実績が、CSRによるブランド価値向上に寄与していると報告されました。

デイビッド・ハセキエル氏(コーズ・マーケティング・フォーラム代表、アメリカ)からは、同社の取り組みの紹介と、社会的・経済的価値をつくりだす取り組みの類型化が行われました。同社では優れたコーズ・マーケティング・プログラムの共有・表彰・議論の場としてカンファレンスやアワード事業を実施しています。

明確な目的がないままコーズ・マーケティングを展開しているケースが未だに多いこと、優れた取り組みにするには売上向上や市場拡大、コスト低減やブランド価値向上、優れた社員を惹きつけるなどビジネスに資するとともに、社会に貢献するプログラムにする必要があることが指摘されました。

そして社会的・経済的価値をつくりだす取り組みはコーズ・プロモーション、コーズ・リレイテッド・マーケティング、企業のソーシャル・マーケティング、フィランソロピー、従業員のボランティア活動、社会的に責任ある事業の実践、の6つに類型化されることが指摘され、それぞれの特徴や具体事例が報告されました。

本報告内容の詳細は、同氏が共同執筆された書籍(Kotler, P., Hessekiel, D., & Lee, N.(著)、ハーバード社会起業大会スタディプログラム研究会(翻訳)(2014)『グッドワークス!』東洋経済新報社)をご参照ください。

パネルディスカッションでは、
①すべてのステイクホルダーが持続可能性をブランド・マネジメントに組み込むことを促すものの、その比重は産業分野、本社・子会社の所在国/地域、Bto B企業かB to C企業かなどによって異なること
②東日本大震災以降の日本では社会的課題に関する関心が高まっており、今後コーズ・マーケティングの取り組みが増えていくと考えられること――などの意見がありました。

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