SDGs(持続可能な開発目標)の機運醸成やESG(環境・社会・ガバナンス)投資、さらにはインパクト投資の高まりを受けて、「社会的インパクト」や「社会的インパクト評価」に対する関心が各セクターから高まっている。その中で「社会的インパクト」を共通言語としていく動きが加速してきた。(ブルー・マーブル・ジャパン/一般財団法人 社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ=千葉直紀)

そのような中で社会的インパクト・マネジメントを推進する国内のプラットフォーム組織である社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(SIMI)は2018年に出した社会的インパクト・マネジメント・ガイドラインを改訂して、最新版であるガイドラインの「バージョン2」を発表した。

筆者が所属するブルー・マーブル・ジャパンは、SIMI構成団体のメンバーとしてガイドライン執筆にも携わった。今回は、最新ガイドラインの概要や改訂のポイント、各セクターにおける活用可能性を紹介したい。

「社会的インパクト」マネジメントの方法論

「社会的インパクト・マネジメント」(Social Impact Management:SIM)とは、「事業や取り組みがもたらす変化や価値に関する情報を各種の意思決定や改善に継続的に活用すること」と定義されている。

本ガイドラインは、企業やNPO・NGO、行政などの事業実施主体が社会的インパクトを創出するための事業・取り組みのマネジメントが適切に実践できるよう体系的に方法論をまとめたものである。大企業や中小企業、あらゆる業界・業態の事業者が事業活動をおこなう上で社会的インパクト向上のために活用してもらい、国内の社会課題解決と価値創造を後押ししていきたいと考えている。

「ガイドライン本編」は、「概論編」の1~3章と「実践編」の4~6章から成り、「概論編」はSIMが求められる背景や概念を示しており、「実践編」ではSIM実践のための具体的なステップを示している。

今回は「ガイドライン本編」について、基本的な考え方とそれを実践するためのノウハウを4つのポイントで紹介したい。

(1)社会的インパクトのWhyを考えることの必要性 

ガイドラインではHow(どのように)についての解説を期待されるが、「なぜ社会的インパクト・マネジメントを行うのか」というWhy(なぜ)が大切であることを強調している。本業によるSDGsへの貢献や投資家のESGへの要請への対応なども含めて、企業活動における社会的インパクト創出を考えるのであれば、自社の理念やビジョン、また地域社会における存在意義を見つめ直さないことには、社会的インパクトを考えられないのである。「なぜ、自社が社会的インパクトを意識するのか」ということを、内部・外部の重要なステークホルダーとの対話を通じて考え抜くということが不可欠である。

(2)4つのステージと1つの要素の螺旋状の発展

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