トランプ2.0で「人道危機」拡大へ

トランプ大統領は「米国第一」主義のもと、就任直後に対外援助を全て停止する大統領令に署名。その後USAID(米国際開発庁)に業務停止命令が出され、世界中の支援プログラムが凍結した。

米政府効率化省(DOGE)を指揮するイーロン・マスク氏はUSAIDを「犯罪組織」などと批判し、閉鎖すると表明した。

USAIDは世界で人道支援や開発援助などを行う政府機関だ。米国のODA拠出額は01年以降世界トップで、23年には680億ドルの国際援助をし、その半分以上をUSAIDが運用する。

この停止は開発途上国に甚大な影響をもたらす。国連合同エイズ計画の事務局長は、資金提供が停止すると今後5年間でエイズ関連の死者が630万人は増加すると警告した。

米国はテロ予防や国際秩序の維持を目的に政情が不安定な国への支援も力を入れてきたが、その停止は地政学的リスクの高まりも意味する。

日本企業のサプライチェーン上の生産地等にも、USAIDの支援を受けて貧困や人権侵害を食い止めていた地域は多いはずだ。USAIDの今後の行方は、日本企業の人権リスクにも影響する。

shiozaki

潮崎 真惟子(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長)

デロイト、オウルズコンサルティングにて企業・政府・NPOに対する事業戦略やサステナビリティ分野のコンサルティングや人権デュー・ディリジェンス事業に従事し、2021年より現職。「児童労働白書2020」執筆

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