記事のポイント
- トランプ2.0時代の温暖化対策では「適応」がキーワードだ
- トランプ大統領は前政権が進めてきた環境政策を真っ向から否定する
- 企業にとっては「適応」シナリオをもとにしたリスクの分析が不可欠だ
トランプ2.0発足からわずか1か月余り、世界は彼の動向に振り回されている。就任以降に署名された大統領令は100を超えた。前政権がこれまで進めてきた環境政策を真っ向から否定するものもあるが、トランプ2.0時代の温暖化対策では緩和だけでなく、「適応」がキーワードだ。(オルタナ総研所長=町井 則雄)
平均すれば一日に最低3本以上の大統領令に署名するという、これだけでも十分異例だが、問題はその中身だ。パリ協定やWHOからの離脱にはじまり、関税、政府組織の見直し、移民問題、DEIなど人権に関するものを含め、かなり過激な内容も多い。
今後どのように実行フェーズに移行されるかにもよるが、米国内はもとより世界を混乱させる可能性は高く、今後のグローバルリスクとも言える状況だ。
そのような中、SDGsなどどこ吹く風のトランプ政権の登場により私たちが真剣に考えなければならなくなったのが「地球温暖化はさらに進む」という現実に対する対応だ。
世界気象機関(WMO)によれば、2024年の世界平均気温は産業革命前の水準と比べ1.55℃上昇、パリ協定で気温上昇を抑える目標とした1.5℃を単年で初めて超えた一年となった。今後、この平均気温が下がる見込みは今のところ絶望的だ。
■ロシアからEUへの化石燃料の再輸出も
■「移民問題」「格差」、変化するグローバルリスク
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