日本企業の22年度GHG排出量ランキング、日本製鉄がトップに

記事のポイント


  1. 経済産業省と環境省が2022年度の企業の温室効果ガス排出量を公表
  2. SHK制度に基づき、対象となった1万3379事業者の報告をまとめた
  3. 最も多かったのは日本製鉄で、CO2の排出量は7300万トンに上った

経済産業省と環境省はこのほど、2022年度の企業などの温室効果ガス(GHG)排出量を公表した。温室効果ガス排出量算定・報告・公表(SHK)制度に基づき、対象となった1万3379事業者の報告をまとめた。最も多かったのは日本製鉄で、スコープ1と2の排出量は約7300万トンに上った。(オルタナ編集部=松田 大輔)

経済産業省と環境省はこのほど、温室効果ガス排出量算定・報告・公表(SHK)制度に基づき、2022年度の事業者の温室効果ガス(GHG)排出量を公表した。

SHK制度は、一定以上のGHGを排出する事業者に対して、排出量の算定(S)、報告(H)を義務付け、国が集計・公表(K)する仕組みだ。排出量の実態を可視化し、事業者の自主的な排出削減を促進するために、2006年に始まった。

対象になるのは、ガスや電気などのエネルギー使用量が原油換算で年間1500キロリットル以上の事業者、CO2排出量が年間3000トン以上で従業員が21人以上の事業者、特定の輸送事業者などだ。

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2022年度に報告を行ったのは合計で1万3379事業者に上り、前年度から95事業者が増えた。他方、報告されたCO2の総排出量は5億8647万トンで、前年度と比べて5%程度減少した。

経済産業省・GXグループ・環境経済室の折口直也室長補佐は、前年から排出量が減少したことに関して、「日本の経済成長が伸び悩んでいることもあるが、主には企業努力が反映された結果と受け止めている」と見解を話した。

SHK制度の算定結果を疑問視する声もある。国際的な基準であるGHGプロトコルとは異なり、SHK制度では、再生可能エネルギーの利用などによるカーボン・クレジットの適用を認めている。クレジット適用量が増加することで、排出量が減ったように見える可能性もあり、単純な経年比較は難しいとされる。

最も多かったのは日本製鉄で、スコープ1と2の年間排出量は約7300万トンに上った。上位にはその他、JFEスチールや神戸製鋼所などの鉄鋼業をはじめ、ENEOSや出光興産といった石油・石炭を扱う企業、UBE三菱セメントや太平洋セメントなどセメント関連企業が並んだ。

「SHK制度」で集計した2022年の排出量上位20社。業種は、鉄鋼や石油・石炭、セメントなどが多い(環境省の資料を基にオルタナ編集部作成)
「SHK制度」で集計した2022年の排出量上位20社。業種は、鉄鋼や石油・石炭、セメントなどが多い(環境省の資料を基にオルタナ編集部作成)
matsuda daisuke

松田 大輔(オルタナ編集部)

中央大学総合政策学部卒業。2021年から米国サンフランシスコで研究資料の営業マネジャーとして勤務。2024年に株式会社オルタナ入社。

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キーワード: #脱炭素

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