記事のポイント
- MS&ADが「フードロス削減特約」、再販売や再利用を後押し
- 食品ロスはサプライチェーンのいずれの工程でも発生し、一層の再生利用が課題に
- 今回の特約で食品ロス削減を後押しする
MS&ADグループの三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保の2社が食品関連事業者向けに「フードロス削減特約」を開発。4月から販売を開始した。食品ロス削減は進んでいるものの、生産から廃棄までのいずれの工程で発生しており、一層の削減と再生利用が課題となっている。今回の特約で食品ロス削減を後押ししていく。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)
このほど販売を開始した「フードロス削減特約」は、食費などの貨物の損害を包括的に補償する運送保険にセット可能な特約として販売するもの。品質に影響はないものの外装の異常や納期遅延を理由に処分される食品の損害や再販売・リサイクル・廃棄に関する費用に対して保険金を支払う。
具体的には梱包や外装異常から受け取り拒否された場合や納期遅延で販売機会を逸失した場合、①食品の損害、②食品ロスの削減推進に取り組む事業者への引き渡しにかかる費用、③飼料、肥料などへの原材料としての再利用にかかる費用、④廃棄にかかる費用が対象となる。1回の事故につき支払限度額は500万円だが、②については保険期間中通算500万円。
同様の特約は東京海上日動火災保険も24年10月から「食品ロス削減推進特約」として展開する。同社の特約では損害や費用の補償に加えて、食品ロス発生時に商品や残賞味期限に応じて物流や食品リサイクル、子ども食堂など各事業者とのマッチングを実施する。
農林水産省の食品ロス量の統計によると、食品ロスの半分を占める事業系食品ロス量は22年度で前年比15%減少し、30年度までに00年度比で半減という目標を前倒しで達成した。一方で、自然災害による配達遅れや納期遅延で食品ロスが発生する事例も多い。保険会社としては新たに開発した特約を通じて、食品ロス削減を支援していく。