オイシックス・ラ・大地、社内有志が育休復職後の離職を防ぐ

記事のポイント


  1. オイシックス・ラ・大地は有志社員が育休復職後の離職を防ぐ役割を果たす
  2. 復職前後のケアによって、育休復職後の女性社員の離職率は0%を達成した
  3. 第1子出産前後で2人に1人が離職する中、なぜ同社の社員は辞めないのか

食品のサブスクリプションサービスを手掛けるオイシックス・ラ・大地は、育休復職後の社員が辞めないように独自の復職プログラムを設けている。このプログラムを考えたのは、「キャリアコンサルタント」の資格を持つ社員たちだ。復職後に直面しそうな課題を洗い出し、社員自ら解決策を考えた。(オルタナ輪番編集長=池田 真隆)

復職しやすいように「復職式」を年度の始めに毎年開く

オイシックス・ラ・大地が目指す「働き方改革」の狙いの一つが、育休明け社員の離職防止だ。第1子の出産を機に離職する女性社員の割合は46.9%(2018年、内閣府調べ)と約2人に1人の割合だ。

仕事と育児を両立させ、パフォーマンスを最大化させるために、同社では独自の復職プログラムを設けた。このプログラムを考えたのは、同社の社員たちだ。国家資格であるキャリアコンサルタントの資格を持つ社員らが集まり、どうすれば復職後の不安を払しょくできるか話し合った。

育児休業者向けの復職プログラム

まず行ったのが、復職後に直面しそうな課題の洗い出しだ。復職後の仕事が自身の希望したものと合っているか、やりがいを持って働き続けられるかなど「復職課題」をリスト化し、それぞれの解決策を考えた。こうしたことで、会社として育休明け社員の心構えを後押しした。

サステナX

復職後の配属先の上長との面談は復職前に設けた。復職して1カ月後には人事部が状況をヒアリングする。復職者同士でも悩みを打ち明けられるように交流の場をつくった。

復職式では一人ひとりが復職に向け決意表明を行った

各種休暇やリモートワークを充実させて、家庭環境に応じて働き方を柔軟に選べるようにもした。これらの施策が功を奏して、復職率は100%、復職して1年間の女性社員の離職率は0%を達成した。

社員発案の「復職式」から再スタート

同社はスムーズに復職しやすいように、入社式ならぬ「復職式」を開く。気負いすぎずに戻ってきてほしいという思いから、育休を取得した女性社員が2017年に企画した。

その女性社員も育休からの復職後、悩みや不安を抱えていた。この実体験をもとに、どうすれば不安が減るか考え、思いついたのが復職式だ。女性社員だけでなく、育休を取得していた男性社員も参加する。

今年の復職式は4月23日に開いた。同社の高島宏平社長は、第一声で「おかえりなさい、戻ってきてくれてありがとうございます」と呼びかけた。続けて、第二次トランプ政権の発足による日本の食品への影響などを説明した上で、「どの変化も家族が増えるほどの変化ではない。皆さんの変化対応力の方が偉大だ」と言い切った。

復職してから3カ月から半年は、仕事と家庭を両立するリズムを身に着ける期間として、「昔のようにできるはずと自分自身で追い詰めることなく、お休み前とは違う活躍を期待します」とエールを送った。

復職式に参加した、Oisixエンジニアリング部の大薗政伍・マネージャーは第三子の誕生を機に約2カ月の育休を取得した。「育休中は家事や育児の合間を縫ってデータ分析のリスキリングにも取り組んだ。オイシックスで働いていることを子どもたちが誇れるように頑張りたい」と意気込みを語った。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #働き方改革#育休

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