日本国内の課題の一方で、海外に進出している企業にとって、「子どもの権利とビジネス原則」の原則3は、海外の生産拠点における社会状況や文化への配慮も求めるものである。例えば、中国では2.6億人の出稼ぎ労働者がおり、その子どもの数は9000万人にのぼるが、地方の祖父母や親族のもとに残してきた子どものことが気がかりで仕事を辞める労働者が非常に多く、企業としてどのようにこの問題に対応するかが肝要となっている。

遊ぶ親子(日本で撮影)(c)セーブ・ザ・チルドレン

遊ぶ親子(日本で撮影)(c)セーブ・ザ・チルドレン

本コラムの第1回でもご紹介したセーブ・ザ・チルドレン・スウェーデンが中国に設立した社会企業、Centre for Child Rights and Corporate Social Responsibility(CCRCSR)では、出稼ぎ労働者の家族の実態調査を行い、親子の絆を強めるための研修やアクティビティを企業に提供している。

また、離職率の高い若い工場労働者を対象に、インタビュー形式で調査を行い、その特性やニーズを洗い出し、満足度や生産性が高い若年労働者の育成に向けたチームワークやコミュニケーションの研修や、世代の異なる若い労働者と円滑にコミュニケーションを取る手法などの研修を工場管理者に対しても行っている。

ディーセント・ワークの提供を通した子どもの権利の尊重・推進という視点を企業が持つことで、これまでの雇用や労務への対応に加えた新たな取り組みのヒントが見えてくる。これからの社会を担う子どものより良い成長や発達 に、雇用や人事という企業の足元から貢献することは、労働者が働きたい、働き続けたい持続可能な企業への道にもつながるだろう。企業が中長期的なビジョンをもって、NPO/NGOとも連携しながら、社会の課題解決に向けて積極的に取り組むべき時代が到来している。

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