記事のポイント
- ルワンダの女性起業家が、アフリカの「生理の貧困」の解決に挑む
- 再利用可能な生理用ナプキンを製造し、母子の健康に関する啓発も行う
- サハラ以南のアフリカの女性が就学・就労をあきらめない世界を目指す
ルワンダで、生理の貧困を解決し、女性や母子の医療アクセス改善を図る企業がある。再利用可能な生理用ナプキンを製造し、女性のヘルスケア情報をメディアで提供するほか、妊婦向けには医療ヘルプライン機能のあるヘルスケアアプリも展開する。サハラ以南のアフリカの女性が就学・就労をあきらめない世界を目指す。(オルタナ輪番編集長・北村 佳代子)

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ルワンダは知る人ぞ知る、女性エンパワーメントの先進国だ。
毎年世界経済フォーラム(WEF)が発表する世界ジェンダーギャップのランキングでは、2024年は大きく順位を下げて39位(日本は順位を上げて118位)となったものの、長年アフリカのトップクラスを走ってきた。女性の国会議員比率は6割超と、女性の政治参画は世界トップクラスだ。
その一方で、女性の月経をタブー視する社会・文化的風潮から、生理期間中に学校や職場を休む女性が多い。
2016年にサステナブル・ヘルス・エンタープライズが実施した調査によると、ルワンダ女性の18%が、生理用品を購入できないことが理由で、仕事や学校を欠席していた。
こうした生理の貧困の撲滅に向けて、再利用可能な生理用ナプキンの製造で挑んでいるのが、コスモティブ社だ。同社のブランディン・ウムジラネンゲ創業者兼CEOは、繊維業界での製造・販売経験を活かし、長く使用できる素材を研究開発した。
同社が開発した布製生理用ナプキン「コスモパッド」は、洗って再利用することで約2年間使用できる。価格は5枚入りセットで6000ルワンダ・フラン(約600円)だ。なお、ルワンダ人女性が毎月、使い捨て生理用品に支出する金額は日本円にして約240~360円だという。
利用者は、2年使用後、パッドを返却すると、新たなセットを半額で購入できる。コスモティブ社は回収したパッドの生地を破砕して家具メーカーに詰め物として販売する。

ウムジラネンゲ創業者兼CEO
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事業開始は女性・子どもの健康啓発から
2014年設立のコスモティブ社は、メディア事業からスタートした。雑誌「コスモマガジン」は、冊子とオンラインの両方で、母子の健康に関する情報を提供している。
2016年には、妊婦のためにヘルプライン機能付きのアプリ「コスモヘルス」を立ち上げ、妊娠期間中の緊急時や在宅での受診が可能な医療情報の提供を開始した。
2017年には、マタニティウェアや授乳服の製造を開始し、「コスモウェア」のブランドで販売している。
■生理で就学・就労を諦めさせない
そして2018年から、生理用ナプキン「コスモパッド」の製造を開始した。
工場で若い女性を雇用し、毎日5000枚のパッドを生産する。工場は、就労機会を提供し、ナプキンの作り方を修得するだけでなく、女性たちが生理に関する課題を話し合い、女性の健康について学ぶ場にもなっている。
「生理の貧困問題はルワンダに限らない。サハラ以南のアフリカでは女性の4人に1人が同じ問題に直面しており、その数は1億2800万人に上る」と、ウムジラネンゲ創業者兼CEOは語る。
「この問題に対処しなければ、学校を中退する少女が増え、経済的不平等が広範囲で深刻化する」(同)

使い捨てナプキンに比べ支出を8割抑えられるという
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■「使い捨て」をやめるインパクトは大きい
■ルワンダ発でサハラ以南アフリカに広げる