社会課題解決には「チャリティーより企業」【CSR フロンティア】

原田編集長

原田 勝広(明治学院大学教授)

明治学院大学では3年前から毎年新入生を対象に、1Dayfor Others(一日社会貢献)というイベントを実施している。

ミッション系でDo for Others(他者への貢献)を教育理念にしているので、まず一日だけでもやってもらおうという企画だ。ボランティアコース、NPO・NGO・社会起業家コース、企業CSRコースの3つに分かれており、全部で60ものプログラムが用意されている。
 
主催がボランティアセンターとあって、当初は「ボランティアを狭くとらえないでください。ボランティアは海岸や公園の清掃、障がい者や高齢者施設の訪問だけではなく、社会を変える大きな可能性を秘めています」と、口を酸っぱくして、ボランティアの概念を広くとらえるよう学生に訴えたものである。ボランティアの延長として、将来、国連や赤十字で働くような学生を育てたかったし、企業に就職する場合は、CSRに関心を持ってほしかったからだ。

これにはこんな経験も影響している。3年ほど前、神奈川県内の大学生にアンケートしたところ、ボランティアという言葉が嫌いという学生が意外に多かった。「敷居が高い」「偽善の臭いがする」などがその理由だった。大半はボランティアの経験がない、いわゆる食わず嫌いだと思うが、これではいけない、と思ったものだ。
 
そんな中で生まれたのが1 Day for Othersのイベントだった。実際に始めてみて驚いたのは就職難もあるのか、企業CSRへの学生の関心が強いこと。資生堂、ザ・ボディショップ、エイチ・アイ・エスなどは大変な人気で、キャンセル待ちが出るほどだった。

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原田 勝広(オルタナ論説委員)

日本経済新聞記者・編集委員として活躍。大企業の不正をスクープし、企業の社会的責任の重要性を訴えたことで日本新聞協会賞を受賞。サンパウロ特派員、ニューヨーク駐在を経て明治学院大学教授に就任。専門は国連、 ESG・SDGs論。NPO・NGO論。現在、湘南医療大学で教鞭をとる。著書は『国連機関でグローバルに生きる』など多数。執筆記事一覧

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