記事のポイント
- 「社会課題を成長機会へ転換」という理念の実践には「壁」がある
- この壁を乗り越えるための新たな思考の枠組みとなるのが「ESD」だ
- 「将来の成長機会」などを予測するための新たな評価軸として注目が集まる
サステナ経営の重要性はすでに広く認識され、「社会課題を成長機会に転換」という理念も浸透しつつありますが、実践するには「壁」があります。そこで注目されるのが、エマージング(新興)、ストラテジック(戦略的)、ディスラプティブ(破壊的)の頭文字を合わせた「ESD」という考え方です。ESGの評価軸では測ることが難しいとされる「将来の成長機会」などを予測するための新たな評価軸です。(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家=遠藤直見)
社会課題を起点に、ビジネスモデルの変革やイノベーションの創出を目指す企業は増えてきましたが、実際に結びつけられている企業は限られます。その背景には複数の要因がありますが、その一つとして、技術革新の加速や地政学リスクの顕在化など、従来のESGの枠組みだけでは捉え切れない社会課題の存在があります。
これらを機会として戦略に統合し、実行に移す経営判断は容易ではありません。そこで注目される新たな思考の枠組みが「ESD」です。
■ESGでは「将来の成長機会」を測れない
■米調査会社がESDを提案、ESGを補完へ
■ESDは3軸で社会課題を分類する枠組み
■ESDは投資家と共有可能な評価軸でもある
■「ナラティブ」が投資家との対話でより重要に