ネスレ、マース・リグレーなどの主要食品企業は、欧州連合(EU)の「森林破壊防止規則(EUDR)」の施行再延期に対し、懸念を示す共同書簡を提出した。EUDRは、企業に対して「自社製品が森林破壊に関与していないこと」を証明する義務(デューデリジェンス)を課す法律だ。対象には大豆・牛肉・パーム油・カカオ・コーヒー・木材などが含まれる。(オルタナ輪番編集長=吉田広子)

欧州委員会は9月23日、関連するITシステムの整備が追いついていないことを理由に、EUDRの施行を1年間延期する方針を示した。これで2度目の延期となる。延期が実施されれば、森林破壊と関係するパーム油や大豆などの輸入禁止措置が、さらに1年先送りされる見通しだ。
ネスレ、マース・リグレーなどによる共同書簡では、「環境および人権に関する明確で予測可能かつ包括的な規制こそが、EUの長期的競争力にとって極めて重要である」と強調した。「2025年12月31日までにEUDRの義務を完全に履行することを目指しており、再延期は森林保全と企業の信頼を損なう」と警告した。