「資源循環にインセンティブを」: キリンなど8社が政策提言

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記事のポイント


  1. キリンやユニ・チャームなど8社は資源循環に関する政策提言を行った
  2. 資源循環を行った企業に、経済的インセンティブやコストの軽減を求めた
  3. プラスチック廃棄物のうち、国内でのマテリアルリサイクルの割合は6%

キリンやユニ・チャームなど8社はこのほど、資源循環に関する政策提言を行った。同日に環境省の担当者に提言を届け、意見交換を行った。提言では、水平リサイクルなど「高度な資源循環」を行った企業に対して、経済的なインセンティブや遵守コストの軽減を求めた。資源循環に取り組むことでコスト増や手続き上の負担が増す状況が背景にある。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

環境省 金子浩明容器包装・プラスチック資源循環室長(左から2番目)に提言書を提出する「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」の有志企業の担当者

政府に政策提言を行った8社は次の通り。ウーバーイーツジャパン、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、日本航空、ニッスイ、ネスレ日本、ユニ・チャーム、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス。

8社は、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京・港、以下WWFジャパン)が事務局を務める「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」に参画する企業だ。プラスチック・サーキュラー・チャレンジは2022年2月にできたイニシアティブで、企業が主導してプラスチック問題の解決を目指すものだ。国内企業12社が参画する。

資源循環に取り組まない企業が利する状況も

このほど8社が作成した提言では、水平リサイクルなど「高度な資源循環」を実行し、一定の基準に達した事業者には、経済的なインセンティブや遵守コストの軽減を求めた。

例えば、水平リサイクルやリユースなどを行った企業に対し、容器包装リサイクル法で再商品化費用の支払いにおける自主回収分の控除額を割り増しするといったインセンティブを与える仕組みを導入することなどを訴えた。

日本で水平リサイクルなどの高度な資源循環や再生材の利用を促進するには、コスト増が避けられない。手続き上の負担もある。環境省と企業担当者との意見交換では、資源循環に十分に取り組まない企業が相対的に利する状況を懸念していることも指摘した。

WWFジャパンの三沢行弘・自然保護室サーキュラーエコノミー・マネージャー兼プラスチック政策マネージャーは、「プラスチック廃棄物の内、国内でマテリアルリサイクルされているのはわずか6%に過ぎない。特にリユースや水平リサイクルといった高度な資源循環を推進するためには、企業の努力だけでは限界がある。政策を決定する政府には、共同提言の内容を踏まえ、環境問題を解決しようと努力する企業が報われる公正な社会の仕組みづくりを期待している」と話した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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