電源表示義務化見送りに自民党議員からも疑問の声――電力小売全面自由化控え

■石炭火力も「地産地消」?

表示例について「FIT電気の説明は分かりにくい。『FITにより調達された電気』とすればすっきりする」と指摘するのは日本生協連の二村睦子氏。「表示例そのものがダメという訳ではないが、電源表示は必要最小限かつ不可欠な基本的情報を、誰でもアクセスしやすい形で行う必要がある」と話す。

電源表示をめぐる問題点はまだある。案では「地産地消」「ゼロエミッション電源」といった表記が、定義が曖昧なまま行われる余地を残す。「何をもって地産地消とするのか。例えば輸入した石炭を使う火力発電の電気でも、その火力発電所がある地元で電気が消費されれば『地産地消』となりかねない」(二村氏)

「ゼロエミッション電源」についても、案はCO2を排出しないという意味で原発を含めることを容認。無論、長期間の管理が必要な核のゴミを排出し、過酷事故に至ればチェルノブイリ事故や東電原発事故のように甚大な環境汚染をもたらす原発が「ゼロエミッション」であるはずはない。

国は案へのパブリックコメント(国民からの意見募集)を来年1月8日まで受け付ける。

「電力の小売営業に関する指針」(案)に関する意見の募集について(イーガブ)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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