日本勢19社のうち、「5-15年後の中期目標」をSBTに提出し、承認されたのはソニーと第一三共の2社だけだ。トヨタ自動車も2年以内に、SBTからの承認を目指す。
WWFジャパン自然保護室の東梅貞義室長は「結果的に、WWFのランキングがトヨタさんの背中を押したのかもしれない。その後出てきた『トヨタ環境チャレンジ2050』は、当方で指摘した足りない分が見事にフォローされていた」と話す。
残念ながら、SBTの取り組みは日本ではあまり知られておらず、参加も19社にとどまる。だが、上に掲げた日本の参加企業は、間違いなく日本の温暖化対策のトップ企業たちだ。
数年前の日本では、「温暖化対策といっても、すでに日本企業は先行して相当の努力をしてきた。もう乾いた雑巾は絞れない」という言い回しが流行した。こうした言葉を公然と口にする経営者もいた。
だが、昨年12月のパリ協定で、世界の枠組みは大きく変わった。「今世紀後半には、人間活動による温室効果ガス排出量を実質的にゼロにしていく」方向が打ち出されたのだ。
パリ協定の批准が大きく遅れた日本政府の後ろ向き姿勢も気になるが、日本経団連を筆頭にした財界の動きも鈍い。このままでは、SBTに参加したトップランナーたちと、取り残される企業の差は広がるばかりだ。日本企業には、早く目を覚まして欲しいと願うばかりである。