
2016年3月、いわき市では災害公営住宅1513戸の入居が完了した(いわき市)。市内の目玉観光スポットであるスパリゾートハワイアンズには200万人以上が訪れるようになった。スーパーには地元の野菜が少しずつ並び始めている。
しかし、明るい兆しが見える一方で、鮮魚コーナーにあるのは北海道産や静岡産の魚介類だ。福島県の漁業は、原発事故の影響で操業自粛を余儀なくされている。すぐそばに海がありながら、いまだに地元の魚を食べることができない。生鮮食品を扱うマルトには、そんな葛藤もある。
「残念ながら、自分たちが小さいころ、海水浴場で遊んだように、心置きなく子どもを遊ばせることができません。目の前に広がる海、震災がれきを利用して再建されつつある高さ7メートルの堤防を見ると、否応なしに震災を思い出します」
■本当に困っている人に支援を届ける
『「5」のつく日。』の支援テーマは、次世代育成支援、産業振興、地域活性化・コミュニティー再生、障がい者支援・育児支援、自立的復興の側面支援と多岐にわたる。2016年の支援先は合計26団体だった。
震災から6年が経つものの、人によって地域によって課題は膨大にある。マルトの比佐部長も、地域の危機を肌で感じている。
「復興をどう定義するかによりますが、私の中では、まだ20%ぐらいしか復興していません。震災前とは景色も住む人もすっかり変わってしまいました」
比佐部長の実家は海の近くにあり、津波の被害を大きく受けた。いまは道路などが少しずつ再建され、各地域の避難場所といった情報が回覧板でまわってくるようになった。
だが、「沿岸部の過疎化は進み、高齢者の割合が増えています。特にそうした地域では、普段の暮らしを支え、非常時には逃げる手助けをするような支援が求められています」という。
行政だけで行えることには限界があるが、企業やNPOなど、セクターを超えて復興支援を行う動きも進んできた。
比佐部長は「『「5」のつく日。』が復興支援を考えるきっかけになれば。手の届かない、声を上げづらい、本当に困っている方々に対して、『「5」のつく日。』を通じて、支援金を役立ててほしい」と期待を込めた。
『「5」のつく日。』過去の掲載記事
◆ コラム「5」のつく日、JCBで東北復興支援 [藤解 和尚]