「5のつく日」のJCB復興支援、今年で10回目

5月までの5のつく日(5日、15日、15日)にJCBカードを使うと、利用1回につき1円が寄付される『「5」のつく日。JCBで復興支援』が2月に始まった。今年で10回目を迎える取り組みで、JCBはこれまでのべ約200団体に約5億3千万円を寄付してきた。震災から10年目を迎えようとしているが、企業の支援は被災地でどのように役立ってきたのか。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「2011年3月11日に東日本大震災が発生し、その被害の大きさに心を痛めていた。寄付金の拠出やJCBカード会員からの義援金募集も行ったが、これら以外にも企業としてできることはないのか。長期的で『参加者意識の芽生える』復興支援の仕組みを模索するなかで、『「5」のつく日。』が生まれた」(JCB広報部CSR室の佐藤貴之室長)

『「5」のつく日。』は、対象期間である2月~5月の5のつく日(5日、15日、25日)にJCBカードを使うだけで、手軽に復興支援に貢献できる仕組みだ。

■「米崎りんご」で陸前高田を元気に

米崎りんごの生産を支援する松本玄太さん(右から2番目)

JCBが支援する活動は「次世代育成支援」「産業振興」「地域活性化・コミュニティー再生」「障がい者支援・育児支援」と幅広い。

一般的に寄付金は、活動分野が制限されたり、人件費を含む管理費には使えないといった制約があったりする。だが、『「5」のつく日。』では、民間ならではの支援としてこういった条件を一律には定めず、活動内容に応じて柔軟に寄付金を活用してもらえるようにした。

2014~2016年に支援を受けたSAVE TAKATA(岩手県陸前高田市)理事の松本玄太さんは、「復興のステージや環境が変わっていくなかで、自由度の高い『「5」のつく日。』の寄付金は、現場が求める活動に使えるため貴重だった。NPOの活動の意義を理解してもらえたからこそ実現した寄付の仕組みではないか」と感謝の意を表す。

SAVE TAKATAは震災発生翌日から物資支援や避難所サポートといった災害支援を行い、地域課題を解決するための事業にも取り組んできた。その一つが陸前高田市の特産「米崎りんご」のブランド化だ。

「農家の高齢化や担い手不足はもともとあった課題だが、震災を機に加速した。復興のために農園を宅地化する動きもあった。このままでは米崎りんごがなくなってしまうという危機感もあり、米崎りんごを通じた地域づくりに取り組むことになった」(松本さん)

『「5」のつく日。』の支援金は、米崎りんごを使った加工品の開発やパッケージデザイン、販路の開拓などに充てられ、事業の拡大を後押しした。米崎りんごを通じて地域の魅力を発信し、交流人口の拡大に努めている。

その後、松本さんは米崎りんごの生産と農家支援に特化したNPO法人LAMPを立ち上げ、意欲的に活動を続ける。「地域が生き生きとしていれば自然に人も集まってくる。農業を通じて地域に貢献し、地域で農業を支える仕組みをつくっていきたい」(松本さん)。

■避難障がい者に「仕事」と「未来」を

editor

オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..