――なるほど。それは、いつぐらいから変わり始めたのでしょうか。
やはり、まず採用して、特例子会社を作って、実績を上げてからですね。今は「父母の会」という会を開催しています。そこでディスカッションをしています。これから毎月2回やります。1回2、30人の障がい者をもった母親・父親と将来について真剣に語るわけです。
――そういうネットワークがあるわけですね。
そうですね、地域ごとにあります。中野区には、6000人の障がい者がいるので、1万2千人の親がいるわけです。その人たち全員と僕はしゃべりたいと思っています。
――やはり、親とちゃんと話をしないと、障がい者は集まって来ないと。
いい人は集まって来ないですね。
――確かに、障がい者雇用にしても、多くの企業ではまだ進んでいませんね。これを変えることはできると思いますか。
もちろん思っています。障がい者雇用も、外部に広めるセミナーを毎月開催しています。いつも70社くらい集まりますね。
――どういう企業が来ますか。
割と大手が来ます。上場企業でも、障がい者の法定雇用率1.8%を達成していない企業は7割近い状況です。これらのない会社に、まず1.8%を達成するためのノウハウを伝授します。
また、そもそも障がい者雇用をする意志が無い会社もたくさんあるので、経営者たちにまずやろうと呼び掛けています。
――最近、さまざまな社会問題をビジネスで解決する「社会企業家」や「社会的企業」が世界でも日本でも増えています。渡邊さんもそんな存在ですね。
いえいえ。実は私、その言葉を知らなかったのです。2年ほど前、北城恪太郎さん(日本アイ・ビー・エム最高顧問)に「渡邉君、君みたいな社長のことを、社会企業家というのだよ」と言われて、調べたわけです。
社会企業家として有名なのが、グラミン銀行のムハマド・ユヌスさんですよね。僕も知り合いにお願いしてユヌスさんに会わせてもらって、そこで当社のプレゼンをさせてもらいました。
そこで「あなたがやっていることは、まさに社会的企業だよ」と言われて、確信を深めたわけです、我々の会社が社会的企業だと。
社会企業家が出てきたから、「社会企業家」をやったわけではなくて。だからそういう意識がありませんでした。今でもあまりないですけど。