基準4については「先住民族や地域住民の権利が尊重されていること」とありますが、PEFCの「管理材基準」では合法性レベルでの確認でしかありません。
「先住民族の財産、土地保有権、土地使用権、第三者の財産、土地保有権、土地使用権」に関する「条例、国法、または国際法を遵守しないもの」との規定はありますが、それ以上の権利尊重は行われません。
一方FSCでは、非認証材に利用されるものには「管理木材基準」が適用されており、「伝統的権利及び人権を侵害して伐採された木材」については排除することとなっており、国が批准していなくても、国際労働機関(ILO)169号条約に基づき先住民族の権利侵害がないことをリスク評価し、リスクが認められる場合は現場での確認が必要になります。
基準5(「伐採・採取に従事する労働者の労働安全・衛生対策が適切にとられていること」)についても、PEFCの「管理材基準」では「林業従事者の健康と労働問題」に関連する法令遵守が求められているだけで、合法性の範囲を超えていません。しかし、FSCの「管理木材基準」では「ILO中核的労働基準への違反」のリスク評価も行なうこととなっています。
以上は、認証紙に混入される非認証材の基準についての説明と課題ですが、PEFCでは、先住民族や地域住民からの同意が不十分な場合でも認証を得ることができている製品があります。
例えば、日本にもインドネシア産のコピー用紙を提供しているAPP社やAPRIL社は、PEFCと相互承認を得たIFCC (Indonesia Forestry Certification Cooperation)というインドネシアの認証制度から認証を得ていますが、先住民族や地域住民との多数の土地紛争が長年続いています。
さらに、APP社やAPRIL社が保有する植林地域の多くが「地球の火薬庫」と呼ばれる、排水された泥炭地に植えられています。またPEFCジャパンとなったSGECでは、先住民族の権利尊重について土地権を含めないとの判断を行っており、認証材であっても基準を満たしていないものもあります。
認証制度のみに頼らず、リスク低減に向けたデューデリジェンスを