■バウンダリ(開示範囲)
報告の質を見極めるのに重要なのは、その企業がどの範囲を責任範囲ととらえているかです。
グローバルに展開しているにも関わらず、国内だけ、しかも本社だけの開示をしているのでは、開示・問題意識が不十分と言われても仕方ありません。今や、大手アパレルメーカーなどはすべての取引先まで開示しているくらいです。
開示されている情報がどの範囲かは上記の「編集方針」や、グラフ・表ごとの注記に書かれていることが基本ですが、仮にそれすら書かれていない報告があるとすれば、信頼性に疑問が生じます。傾向としては、環境関連の情報は比較的海外の情報も開示される傾向がありますが、社会関連の情報は開示が遅れているようです。
■CSRマネジメント
情報がただ開示されていることは重要な一歩ではありますが、それだけでは十分ではありません。
CSRマネジメントとして、そうした開示が改善プロセスの上で機能しているかが重要です。企業の目指す姿が何なのかを頂点に、ステークホルダーは誰か、重要な課題(マテリアリティ)は何かがしっかりと定められ、その実現に向けて目標を立て行動し、実績と課題を明記しているかどうか、企業のサステナビリティ報告(活動)はこの部分に尽きるのではないかと考えています。
現在行われている企業活動や体制・PDCAとの整合性を取りながら、一番効率的な形で進める経営センス・リスクへの感受性が求められます。それは経済活動・お客様が重要視され過ぎていたそれまでのルールと異なるため、対応していくのは当初は至難の業かもしれませんが、長期的な目で見れば、恐らく生き残っていく条件となるでしょう。