自治体のエコ度ランキングで話題=米サステインレーンのジェームス・エルセン社長=

環境やサステナビリティ(持続可能性)に関する情報を発信する米国のポータルサイトサイト「sustainlane.com」。 約10万人の会員を有するコミュニティーに成長したが、その名を知らしめたのは、米国でも初めてとみられる自治体の環境への取り組みをランキング化した「全米サステイナブル都市ランキング」 だろう。サイトを運営する米サステインレーン社のジェームス・エルセン社長に聞いた。

—自治体ランキングを始めた背景は

米国では、環境破壊に起因する様々な問題に対して、人々が急速に関心を持ち始めている。小児がんが増えているのは水や大気や食品の汚染が原因ではな いかとして、多少高くても安全な食品を買うといった行動に出ている。地球温暖化問題がクローズアップされ始めたことも、人々の意識に大きく影響している。

ブッシュ政権での環境政策の成果は極めて乏しかった。一方で、そのせいかもしれないが、米国では地方自治体が非常に頑張っている。その様子を伝 えたかった。

全米サステイナブル都市ランキングでは、総合ランキングのほか、「大気や水道水のきれいさ」「自然エネルギー政策」「公共交通の整備状況」と いった個別のカテゴリーでの順位も掲載している。このランキングはヤフーにも提供しているほか、本にして出版もしている。

ランキングの作成には、われわれのほか、学者やコンサルタントで構成したチームが携わった。 データの半分は政府発表資料や信頼できるNGO、大学の研究成果から抽出し、残り半分はわれわれでアンケート項目を作成して調査した。結果をまとめるまで には9ヶ月を要するものだ。現在全米50都市のほか、カナダの都市も加わった。今後はニュージーランド、さらには日本の都市も加えたい。

ランキングを始めたことで、上位に入った自治体にとって良いPRになった。その一方、下位の自治体の間に危機意識が広がり、上位の自治体を参考 に自ら取り組み始めるという動きにつながった。これは、とても意義深いことだと思う。

— sustainlane.com には、他にどんなコンテンツがあるのか

まず、グリーンビジネスやグリーン商品を検索できるディレクトリがある。2万件のグリーンビジネスを収録しているのは、全米でも最大規模だろう。そ の大半が、中小で地元志向の企業だ。これを構築するのに3年かかったが、ビジネスモデル上重要なのはもちろんのこと、地元志向が強まってきているという社 会全体の要請に応えるものになったと自負している。

また、ディレクトリに掲載されているビジネスや商品のレビューサイトも設けている。多くの人々にとって、初めて調べる情報に対してどのような問 いを立てたら良いのか分からないはず。そんな時、自分より少しでも良く知っている人のレビューを参考にすることで、その後色々と調べるのに役立ててもらい たい。

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)機能もある。レビューを書くにはsustainlaneのメンバー登録(無料)をするだけ。そ うすれば、自分のページを持てて、SNSを通じて同じような考え方を持った人たちと交流できる。現在、約10万人のメンバーがいる。このほか、学校教育の 場でも使ってもらえるよう、子ども向 けサイトも完成させた。

最近、米国の大手メディアでもこのような情報が非常に多く流されるようになってきた。英国や日本でも同じような状況のようで、わが社としても日 本での展開を始めたいと考えている。

—主な収益源は

グリーンなウェブサイトに広告を配信するネット広告代理業「グリーン・ア ド・ネットワーク」を展開している。米国の200のグリーンサイトに向けて広告を配信、これにより月間3600万PVへのアクセスを橋渡ししてい る。これは全米で最大規模。今、約40の出版社のサイトへの配信の話も進んでおり、これが実現すれば今年じゅうに2億PVになる見通しだ。

ネットビジネスを始める人は多いが、米国では月間500万ページビュー(PV)ないとビジネスとして成り立たないという現実に早晩気づく。た だ、月間500万PVに満たないサイトでも200集まれば十分に成り立つ。私たちはこのサイト群を持って、例えばトヨタのような大企業に営業をかけ、広告 契約をして、200サイトに配信している。

「グリーン・アド・ネットワーク」のクライアントには、ディズニー、ホンダ、GEなどがいる。これらの企業はうわべだけで環境への配慮をアピー ルするいわゆる「グリーンウォッシュ」とは違い、サプライチェーンの改善や環境面で革新的な新製品の発表といった具体的な取り組みを行っていると思う。

「全米サステイナブル都市ランキング」を発表しているおかげで、われわれは多くのメディアで取り上げられるようになった。*今、ニュージーラン ドと日本でのサイト展開に向けて動いている。
*編集部注)日本では来春のサイト開設を目指している。

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