優等生的だが野心的ではない花王の「ESG戦略」

2015年のパリ協定で、今世紀後半の温室効果ガス排出を実質ゼロにするという、「脱炭素」のグローバルな潮流が定まりました。これに前後して、トヨタ自動車やソニーなど複数の日本企業が温室効果ガスの削減目標を実質ゼロやそれに近い数字に定めました。

「22%減」というのは、それらに比べて寂しい印象です。この数字を見て感じたことは、花王はやはり質実剛健なモノづくりの会社であり、不言実行の会社であることです。

「温室効果ガスゼロ」は、現状からの積み重ねでは実現できない目標です。野心的な目標を掲げ、未来を起点にしたロードマップを定める「バックキャスティング」の考え方が不可欠です。

一方、現状からの積み重ねを「フォアキャスティング」といいます。多くの日本企業は「できることからコツコツと」努力します。これは、「実現できるかどうか分からない目標を掲げるのは良くない」との考えによるものです。ある意味では、誠実な考え方です。

おそらくは、花王も、その誠実な会社の一つだったのではないでしょうか。冒頭に書いた通り、個人的な思い入れがあるだけに、今後、改めて「野心的な」目標を定められることを願っています。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #ESG

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