休眠預金まず30億円、オープンイノベーション支援

――その方向性を一つの言葉で表すと「オープンイノベーション」になりますね。

その通りです。数年前だとオープンイノベーションは企業の間でもあまり広まっておらず、しかも技術的な意味合いが強かった。しかし今では企業も国も単体で事業を行っていく難しい状況下、オープンイノベーションで新たな価値を造り出す「マルチステークホルダー」という観点が浸透する土壌が形成されつつあると感じています。

――資金分配団体は非営利団体だけでなく、あらゆる組織団体が候補となり、株式会社も入るということですね。営利・非営利の割合は想定されていますか。

現時点ではまだ決まっていません。自治体にお金を出すことはありません。政府や行政の肩代わりをするということではなく、むしろその隙間の課題を解決していく。それがJANPIAの考えるオープンイノベーション、真の民間公益活動なのだという姿勢で理解を広げていきたいのです。

平成の30年間で日本は少子高齢化、経済格差など、他国がまだ直面していない課題を抱える「課題先進国」と言われるようになりました。令和の時代、隙間を埋めながら解決していくのは言うまでもなく大変な作業です。

一方で、国連がSDGs(持続可能な開発目標)という共通言語を策定し、17の目標を掲げて世界各国が取り組んでいます。JANPIAはSDGs の「誰一人取り残さない」というメッセージを強く受け止め、その触媒になろうと考えています。これが最後の機会であり、逃してはいけない機会です。

――「触媒」にはどういう意味を込めているのでしょうか。

さまざまなステークホルダーとの連携・協働のなかで、JANPIAは主役ではなく、あくまでも価値を作る「カタリスト(触媒)」の役割を果たすという意味です。お金を出す側というと、ともすると立場が上のように見られがちです。決してそうではなく「伴走者」として「一緒にやっていこう」という姿勢です。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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