休眠預金まず30億円、オープンイノベーション支援

「社会的存在感」とSDGs「アウトサイドイン」

――SDGsの企業の行動指針に「アウトサイドイン」という概念があります。社会が何を必要としているか、将来像を企業が外部の視点から検討し、それに基づいて目標を設定する方法です。

企業も、従来の寄付や社会貢献活動に加えて、社会課題解決の視点を持って事業活動を進めることが求められています。分かりやすく言えば、様々な困難を抱える人たちが幸せに暮らせる仕組みを作っていくということがこれからの社会の要請です。。

その要請を的確に受け止めて返さないと社会は認識してくれません。社会から存続を認めてくれないと組織は活動を持続できません。「社会的存在感」と「アウトサイドイン」という二つの観点の両立が求められていると思います。

――助成対象の団体の社会的インパクトはどのように評価をしていきますか。SRI (社会的責任投資)といった手法もあります。

PDCAを行える大企業も、地方の小さな団体も、公平かつポジティブに評価できるよう検討中で、6月中に策定予定です。国民の資産を活用する以上、初年度なりに成果を示さなくてはなりません。国民に理解していただくことも大切です。

そのためにも独自にシステムを作って情報を集め、活動内容や成果を発信していく計画です。ウェブのほかSNSも視野に、いろいろな方に知っていただくために何が効果的か研究しているところです。

――初年度(2020年3月期)の予算は経費を含めて約21億円とのことです。残りの600億円以上の使途はどうなるのでしょうか。

今まで各銀行に蓄積されていたものが預金保険機構で一括して蓄積されています。当初の5年間で成果を出すことで、助成の規模が増えていくよう努めていきます。

休眠預金の活用は全く新しい壮大な社会実験であり、日本型SDGsの活動の先駆けになると確信しています。少子化、経済格差、貧困問題など危急の課題に活きたお金が使われるよう、組織を挙げて取り組んでいきます。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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