5月23−26日に投票があった欧州議会選挙で、「緑の党」が大きく党勢を拡大した。ドイツやフィンランド、アイルランドでは第2党に、フランスでは第3党に躍進した。その背景には地球規模の気候変動への危機感があると、欧州メディアは報じている。(パリ=羽生のり子)
ドイツ緑の党のリーダーの一人、ロベルト・ハベック氏は「気候変動が欧州議会選挙に大きな影響を与えた」とドイツのメディアで語った。
ドイツでは得票率22パーセントで、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU-CSU)に次いで第2党。全国投票の選挙で第2党になったのは初めての快挙だ。前回2015年の欧州議会選挙に比べ、2倍の得票率を獲得した。緑の党は特に若者の支持を受け、18−24歳の34パーセントが緑の党に投票した。都市での支持も強く、大都市のハンブルク、フランクフルト、ミュンヘンでは第1党、首都ベルリンでは西の2区と東の2区を除き、全区で第1党になった。
フィンランドでも緑の同盟が16パーセントと、保守政党、国民連合に次ぐ第2党に躍進し、歴史的な勝利を果たした。
フランスでは欧州エコロジー=緑の党が予想外に健闘し、極右政党の国民連合、与党の共和国前進に次いで第3党で13.47パーセントを獲得した。筆頭候補のヤニック・ジャド氏は、欧州議会選挙では緑の党が強いという経験を元に、左派連合を組もうという他党の呼びかけを断り、独自路線を貫く賭けに出て勝った。
アイルランドでも緑の党が記録的な投票率を得た。第1党は29パーセントを獲得した中道右派、フィナ・ゲール(統一アイルランド党)で、次に15パーセントを緑の党、フィアナ・ファイル(共和党)、独立候補がそれぞれ獲得し、第2党になった。緑の党は前回の選挙では議席を得られなかった。
各国の緑の党が躍進する中、例外はスェーデンで、11.4パーセントしか得られず、前回の15.4パーセントから後退した。
緑の党は欧州議会の政治会派「緑グループ・欧州自由連盟」に属している。前回の議席数は52だった。欧州議会は、この政治会派は751議席中70議席を獲得することになると予想している。