パーム油発電は社会・環境問題の「デパート」

HISのパーム油発電所建設中止を求め、環境団体が署名活動

旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)の子会社H.I.S. SUPER電力(東京都新宿区)は現在、宮城県角田市にパーム油を燃料とする発電所を建設している。「H.I.S.角田バイオマスパーク」である。総出力は41.1MW、予想年間発電量は約35万MWh。発電所の運転開始は2020年3月の予定だ。

この発電所に対し、多くの環境団体や有識者が反対の声をあげている。中止を求める署名活動も進行中だ。7月30日にも環境団体は、約15万筆の署名を提出した。

HISは、環境に配慮したRSPO認証のパーム油を使用するとしてパーム油発電にこだわるが、反対する団体は「需要が拡大すれば新たな熱帯林開発のプレッシャーがかかることは確実」であると主張している(ウータン・森と生活を考える会『ウータン森の通信』)。

現在、国内で稼働が確認されているパーム油発電所は、エナリス(37MW)、神栖パワープラント(39MW)、三恵エナジー(2MW)の3件だが、角田市の発電所(41MW)が稼働すると最大規模となる。

 

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環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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