外国からの貨物の着荷拠点であるコンテナヤード内とはいえ、舗装の継ぎ目、というわずかな土壌の露出部にヒアリが入り込み営巣繁殖した、という事実は、不断の警戒監視が必要であることを改めて示している。
先月は、同じく国内への定着が懸念されている特定外来生物アカカミアリについても、町田市内で発見が報告されている。これは購入(輸入)した商品(マレーシアで製造梱包)から発見された、死亡したアリの個体がアカカミアリと確認されたという事例で、発見者が相談ダイヤルに連絡して確認されたものだ。
港湾などでは環境省の啓発や調査・駆除、事業者自身による調査・報告などの協力体制のもと、水際での防止活動が推進されているが、個人宛などで個々に包装された物品内部の確認は、最終的には受取人が注意を払うしかない。
その点において、町田の事例は参考となる。国際宅配便や個人輸入の商品などから、生死を問わずアリなどの生物が発見された場合は、その情報を専門家と共有することで、私たちも外来種の侵入阻止、生物多様性の保全に協力し得る。そして、これは私たちにも実践できる身近な生物多様性保全活動の一つでもある。
坂本 優 生きものコラムニスト
<バルディーズ研究会通信196号より抜粋加筆>
追記
10月10日、青海埠頭のコンテナヤード内において新たに営巣中のヒアリが発見され、働きアリ300個体、有翅女王アリ20個体、幼虫10個体が駆除されている。事態の深刻度・緊急性はより高まっている。
<参考資料 いずれも環境省ホームページから>
●調査結果一覧
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/kouwan.html
●「アリーのヒアリ相談チャットボット」
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/05_contact/index.html
●「ヒアリ相談ダイヤル」10月~3月 月・水・金午前9時から午後5時 0570-046-110