日本のメガバンクとの関係
RANらNGOが運営する「森林と金融」データベース(forestandfinance.org)の財務データから、2015年1月から2019年8月の期間、上記の17社企業グループのパーム油、紙パルプ、木材、ゴム部門が少なくとも192億米ドルの資金提供を受けたことがわかります(金融セクターの透明性欠如のため、全ての資金提供を含んでおらず、控えめな推定値です)。192億米ドルという数字は、インドネシア当局が民事制裁や刑事制裁によって火災を防ごうと四苦八苦している一方で、金融機関が顧客企業の事業を改善するために行使できる影響力の大きさを示しています。国別の融資・引受では、ESGが日本でより注目を浴びてきた2017年1月から2019年8月の間で、日本の金融機関、主に三メガバンクから問題企業への資金提供が世界で4位であることがわかります。(以下参照)

2015年1月から2019年8月の期間、メガバンクの一つである三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG、TYO:8306)は、森林火災関係企業への融資・引受が4億9100万米ドルで、世界で10番目に大きく、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC、TYO:8316)は2億7200万米ドル、みずほフィナンシャルグループ(みずほ、TYO:8411)は2億6100万米ドルです。
特に注目すべきは、3メガバンクと高リスク企業——シナルマス(APP含む)、サリムグループ、ロイヤルゴールデンイーグル(APRIL含む)ーーとの間に強い財務的なつながりがある点です。
最近、3銀行全てがパーム油及び林業セクターへの資金提供に関する方針を採用し、国連「責任銀行原則」(PRB)に署名しました。ただし、高リスクの森林セクターの顧客企業への資金提供の継続は、「方針の強さ」と「方針の実施」両方に重大な欠点があることを示しています。
特に、最近のMUFGのシナルマスのパーム油部門(2億米ドル)とAPRIL(79百万米ドル)への多額の資金提供、そしてみずほのAPPへの融資(1億6500万米ドル)は、両社のESG実績がひどいにもかかわらず、顧客企業のESG成績のモニタリングが不十分であることを示唆しています。
また、サリムグループの場合、パーム油事業での労働搾取と違法行為が確認されたことで欧米の銀行3行が最近融資を引き上げたにも関わらず、みずほは融資額を増やし、SMBCとMUFGは多額の融資を継続していることがインドフードの財務諸表で確認できます(注)。

出典:forestsandfinance.org
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