アマゾンの原生林伐採問題から思考するESG投資

世界が必要とする酸素の10~20%の供給に貢献しているとされているブラジルのアマゾン林が、大規模な火災によって急速に破壊されていることは、各種メディア媒体から既に耳にしている人も多いだろう。



9月4日付のRI記事、「PRI co-ordinating institutional investor statement on Amazon forest fires」で記載の通り、世界のESG投資の動きを代表するPRI(責任投資原則)ではこの問題を受けて、機関投資家の声を代表する共同声明文をドラフトし、賛同機関を募った。

その声明文は、投資家を代表し以下の4点を関連する企業向けに要請している

1.商品ごとに、原生林の伐採(deforestation)をなくすことを掲げた方針の作成と、その実行に向け、全てのサプライ・チェーン及び調達地域における具体的な有期の目標の設定。


2.自社事業およびサプライ・チェーンにおいて、森林伐採のリスク評価、またこのリスクを最低限に留めるための努力とその実行の開示。


3.各社が掲げる脱森林伐採の方針に対し、サプライヤーがそれに準じた行動を取っているかどうかを確かめるための透明なモニタリングと検証システムの導入。


4.各社が掲げる脱森林伐採の方針に対する進捗状況、また森林伐採のリスクの高さと管理状況の年次報告。

この声明文に賛同署名した機関も存在すると思われるが、その決断に至らなかった読者のためにも、少しこの課題の視点を広げていきたい。

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岸上 有沙

2019年4月よりEn-CycleS (Engagement Cycle for Sustainability)という自らのイニシアチブの元、各種講演のほか、Responsible Investor でのコラム執筆、J-SIF運営委員、AIGCCワーキンググループ等を通じて、ESG投資やサステナビリティに関連した企業・投資家行動とグローバル発信の促進に携わる。2007年よりESGとサステナブル投資に従事し、ロンドンでの勤務を経て2015年より東京に異動。FTSE Russellのアジア環太平洋地域のESG責任者として、企業との対話(エンゲージメント)、ESGインデックスやレーティングの開発と管理、及び機関投資家のスチュワードシップ活動の実行に関するサポートを務めた。慶応義塾大学 総合政策学部卒、オックスフォード大学にてアフリカ学の修士号取得。執筆記事一覧

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キーワード: #ESG

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