ロロ・ピアーナ、カシミヤの生産者に光を当てる

■オルタナ本誌59号 エシカルファッションの旗手たち (文・生駒 芳子)から

モンゴル高原の厳しい気候に耐えて生息するヒルカス山羊。体を保護するための暖かい毛に覆われ、内側の柔らかい毛がカシミヤ原料となる。

ファッションは、自然の恵みから様々な恩恵を受けて進 化してきた。今でこそ、「毛皮反対!」とファッションの世界でも声高に叫ばれているが、その昔、古代においては、人々は狩りをし、肉を食し、残った革や毛皮を纏って、暖をとり、生命を保持してきた。

そのような歴史を考えると、簡単に何もかも「反対」と言えなくなる。もちろん動物の虐待は論外ではあるが、動物や植物の存在とともに、ファッションは進化を遂げてきたのだから、より良い新たな共存の道を探ることは今こそ必要な視点なのではないか。

つい最近、イタリアの最高級カシミヤブランド「ロロ・ピアーナ」の上海でのイベントに参加した。第5回「ロロ・ピアーナ・カシミヤ・オブ・ザ・イヤー賞」の授賞式に出席するためだ。

この賞は、ロロ・ピアーナの高品質カシミヤを産出する中国内モンゴル自治区の生産者を、年に一回表彰するために開催されている。

ロロ・ピアーナのカシミヤは、中国内モンゴル自治区の広大な砂漠、吹きさらしのモンゴル高原など厳しい気候条件の中で生き抜くヒルカス山羊に由来する。

季節ごとの温度の変化や昼夜の気温の変化に耐えるため、体を保護する暖かい毛に覆われている。外側の毛が太陽や雨や塵などから保護し、内側の柔らかい産毛が断熱の役割を果たす。

*この続きは雑誌「オルタナ」59号(第一特集「動物福祉(アニマルウェルフェア)のリスクと機会」、12月17日発売)に掲載しています。

yoshikoikoma

生駒 芳子(ファッションジャーナリスト)

ファッションジャーナリスト、アート・プロデューサー。VOGUE、ELLEの副編集長を経て2008年より「マリ・クレール」の編集長を務め、独立。ファッション、アート、デザインから、社会貢献、クール・ジャパンまで、カルチャーとエシカルを軸とした新世代のライフスタイルを提案。地場産業や伝統産業の開発事業、地域開発など、地域創生に数多く取り組む。2018年より、伝統工芸をベースにしたファッションとジュエリーのブランド「HIRUME」をスタートさせる。 アンダーグラウンド(モデル冨永愛個人事務所)代表、三重テラスクリエイティブ・ディレクター、日本エシカル推進協議会副会長、内閣府・消費者委員会委員、江戸東京きらり委員、東京2020ブランドアドバイザリーグループ委員、WEF(Women's Empowerment in Fashion)理事、認定 NPO 法人サービスグラント理事など。 連載:エシカルファッションの旗手たち

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