日本政府は3月30日、パリ協定における温室効果ガス国別削減目標(Nationally Determined Contribution: NDC)の引き上げを行わないことを発表した。日本のNDCを巡っては、機関投資家やNGO/NPOだけでなく、国内企業からも引き上げを求める声があった。世界的なコロナ禍の間隙を縫うような政府の決定に対して、内外から批判が相次いでいる。(オルタナS編集長=池田 真隆、編集部=堀 理雄)

「日本政府がNDCの引き上げを行わないという決定を下したことで、日本企業は再生可能エネルギーに関する事業をあきらめるか、その事業に打って出るために日本を出るかの二択を迫られる」――国連環境計画・金融イニシアティブの末吉竹二郎・特別顧問はそう予測する。

「欧米では政府、自治体、企業、NGOなどが連携してCO2の排出量0を目指している。日本のこの決定は、国際社会から『昔の国』と見られ、企業は温暖化への意識が低い、社会もそのことを許しているという印象を与えかねない」

国連環境計画・金融イニシアティブ 末吉竹二郎特別顧問

NDCとは、気候変動枠組条約のもとで「パリ協定」(2015年)を批准した各国が正式に国連に登録するもので、いわば温室効果ガスにおける「各国政府の国際公約」だ。

日本が2015年7月に国連に提出したNDCは「2030年度に-26.0%(2013年度比、10億4200万t-CO2)」だった。それ自体が「気候対策に後ろ向き」と批判を浴びていたのにかかわらず、政府は今回、NDCを引き上げない決定をした。

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