仏映画館がネットで合同プレミア上映、1500人参加

フランスの映画館7館が5月2日、合同で新作映画のプレミア上映会をネット開催した。7館はパリ郊外の7自治体にある市立映画館で1500人が参加する大盛況となった。新型コロナ対策で3月17日以降、フランス全国の映画館が閉館し、経営難に陥っており、新作上映もできない。この状況を突破するため、地元を舞台にしたドキュメンタリー映画を合同で上映することにした。(パリ=編集委員・羽生のり子)

ネットでのプレミア上映で中心的役割を果たした映画館「ル・メリエス」

パリ近郊のセーヌ・サンドニ県には市立映画館が7館ある。同県の東側に位置する9つの市でつくる「エスト・アンサンブル(東地区合同)」という公的地域団体の管轄のもとで連絡網を形成している。

エスト・アンサンブルに加盟している自治体の市長は社会党、共産党、中道右派で、左派色が強い。セーヌ・サンドニは、海外県を除けばフランスで貧困率が一番高い県だ。

上映するのは芸術性の高い映画や子ども向け映画が中心だが、地元民に敷居が高くならないよう、入場料はパリの半額以下に抑え、話題の商業映画も時々上映する。料金は全館同一だ。

ネットでのプレミア上映は、閉鎖後初めてのイベントだった。行きたい映画館を7館から選び、メールアドレスと名前を登録し、チケット代3.5ユーロ(400円)をクレジットカードで払った。

イベントを指揮したのは、モントルイユ市にある「ル・メリエス」の芸術監督で映画評論家のステファン・グデ氏。毎週監督や制作スタッフ、俳優を招いて上映後に観客と討論会を行うという、シネマテーク・フランセーズも顔負けの充実した催しを行っている。ネットプレミア上映には1500人もが来てくれた、とグデ氏は開始前の挨拶で喜びを表した。

「うましフランス」ネット上映前の画面

上映作品「うましフランス」は、セーヌ・サンド二県の高校生3人が、学校の授業の一環として、地域に建設予定の一大商業娯楽施設「ヨーロッパシティ」が自分たちに何をもたらすかについて調べ始め、次第に環境問題、農業、新たな地域経済のあり方に目覚めていく過程を描いたドキュメンタリーだ。

上映後のネット討論会には、監督のほか仏グリーンピースの事務局長、反グローバリゼーションのNGO「アタック」の共同代表、左派系農民組合「農民連合」の代表らが登場した。視聴者はチャットで質問を送った。
 
外出禁止令が出てからネット映画館を立ち上げたのは、「25時」という映画制作会社だ。4月1日公開予定のドキュメンタリー映画のプレミア上映を3月23日にパリの映画館と協力して行ったのが最初だった。会員になればいつでも見られるネットフリックスなどとは違い、日時を決めて上映会を開く。

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キーワード: #CSR#SDGs#新型コロナ

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