薬を買うという理由で外出できた被害者が店内カウンターで健康相談をしたいと申し出ると、予防注射などを行うために設けられたカウンセリングルームに通される。そこから支援団体などに連絡できる仕組みだ。

ブーツで働く従業員と薬剤師には被害者への対応についてのトレーニングがなされ、スムーズに助けを求められるよう尽力している。開始から1週間にして、他のチェーンや独立系の薬局などが続々と参加し始めた。

最初にこの取り組みをブーツに持ちかけた支援団体「ヘスティア」は、「英国ではロックダウンの段階的解除が5月11日から始まる。新型コロナ感染が終息したあともぜひ、この制度を続けてほしい」とブーツを含め全国の薬局に要請している。

また、家を出て逃げようとする被害者は、加害者が容易に追ってこられないよう、自宅からできるだけ遠くにあるシェルターへの避難を目指す事が多い。しかし、現金やキャッシュカードを取り上げられていたら切符を買うことができない。

こうした状況を知ったある幹線駅の駅長と女性支援団体ウィミンズ・エイドが「避難者の乗車を無料に」と呼びかけ、昨年秋からその幹線を走る鉄道会社によって「レイル・トゥ・リフュージ(リフュージ=避難所の意味もある)」サービスが始まっていた。

4月からはすべての鉄道会社が一斉に足並みを揃えて参加することとなり、英国のどこに住んでいても、無料でシェルター最寄駅までの乗車券を手配してもらうことが可能になった。

警察も、被害者が携帯電話から緊急通報番号999にかけても加害者がそばにいてオペレーターと話せない場合、55という番号を押すことで危険を知らせる「サイレント・ソリューション」という既存制度の認知普及を強化している。

英国政府は5月2日、7600万ポンド(約100億円)の助成金を各種DV・DA支援団体に供出するほか、家庭内の虐待防止法案の審議期間を縮小し制定を急ぐと発表した。

1 2