
双眼鏡で見ても何を食べているか、形すらわからないことが多いので、アブラムシのような小さな虫か、あるいは枝に産み付けられた昆虫の卵のようなものだろうか。時に枝からわずかに芽吹きかけたふくらみや、茎のようなものをかじっているように見えることもある。
エナガだけで群れて食べているのは、シジュウカラですら食べない、あるいは優先度の低い食物があるのだろう。
比較的よく見かけるシジュウカラは、スズメよりやや小型なくらいの小さな野鳥で、体重は10数グラムから20グラムほどだ。エナガは尾羽が長いから全体的に同じような大きさに見えるが、体重はシジュウカラの半分程度だ。
餌も多少食べ分けているようで、このことが、種は異なっても一つの群れを形成しやすい理由の一つと考えられている。
緊急事態宣言が解除された5月末の石神井川の桜並木。花はとうに散るも青葉の陰では実が赤く色づいている。ヒヨドリ、ムクドリ、キジバト、メジロ、シジュウカラなど馴染みの野鳥も集まっている。
葉のない枝もあちこちにある。それらの枝の表面でも生命の営みは続いていて、その営みはエナガの群れに、この季節だけのニッチな旬の恵みを与えていたようだ。
6月に入ると、葉のない枝は同じようにあるが、枝から枝へとわたっていたエナガの群れの姿は、もう見つけることができなかった。
さかもと まさる(生きものコラムニスト)