■世界のソーシャルビジネス 欧州編 ドイツ
ドイツ西部の都市ボーフムにあるアイスクリーム屋「I am Love(アイ・アム・ラブ)」は、いつも大勢の人でにぎわっている。キイチゴやミント、抹茶など数十種類をそろえ、素材の7割がオーガニックだ。店でヨガ教室や朗読会を開くなど、アイス販売を超えて、地域のコミュニティーづくりに貢献している。 (田口 理穂=ハノーファー)
このアイスクリーム屋は何もかも型破りだ。創業者のケビン・クーンさんは大学で哲学を学び、イベント会社を経営していた。おいしいアイスクリームを食べたいと思ったが、近所にはなく、自分で開くことにした。
店舗を借り、友人たちと改装を始めたが、「気楽に考えていたものの思ったようにいかなかった」と準備が長引いた。結局、社会的銀行のGLS銀行に融資を頼み、開店したのは2013年12月だった。
しかし、予算のないおかげで、知り合いのアーティストが手がけたダンボール紙の内壁や、廃材を利用した跳び箱の椅子など、個性的な内装となって居心地の良い空間ができ上がった。アイ・アム・ラブは1号店のオープン以来、着実にファンを増やし、2017年には3号店を開くまでとなった。年間売上高は60万ユーロ(約8千万円)を誇る。
正社員8人のほか、学生などのアルバイトが60人おり、社員が喜んで働ける職場づくりに心を砕く。
ヨガやイラストのメニュー