浄水器のブリタはなぜ亀岡市と連携したのか(下)

◆浄水器のブリタはなぜ亀岡市と連携したのか(上)

独浄水器メーカーのBRITA(ブリタ)は「人々の水の飲み方を、持続可能な方法で変えていく」というビジョンのもと、使い捨てプラスチックごみを削減するソリューションの提供を目指す。日本法人のBRITA Japan(ブリタジャパン)は、セクターを超えた取り組みを進めようと、京都府亀岡市と包括連携協定を締結したほか、WWF(世界自然保護基金)ジャパンとも協働している。

■亀岡市でプラごみ0へ

市民によるごみ拾い活動でBRITA製品をサンプリングした

行政との連携も進め、2020年6月には「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」の実現に向けて、亀岡市と包括連携協定を締結した。

同市は全国で初めてプラスチック製レジ袋の提供を全面禁止する条例を成立させた環境先進都市。2018年12月に「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」を発表し、2030年までに使い捨てプラスチックごみゼロのまちを目指している。

アル・プラザ亀岡店では使い捨てプラスチック問題の啓発に力を入れる

桂川孝裕・亀岡市長は「亀岡市の母なる川、保津川の清掃活動をするなかで、ペットボトルやプラスチックごみで河川が汚れていることを知った。保津川や自然を次世代に残すために、プラスチックごみをなくす取り組みを進めている。将来に向けて自信の持てる地域にしたい」と経緯を説明する。

こうした「使い捨てプラスチックごみゼロ」の取り組みの一環として、ブリタジャパンとの連携が始まった。例えば、ウォーキングしながらごみ拾いをする新感覚の市民ボランティア制度「エコウォーカー」では、参加者にBRITA製品を提供した。アル・プラザ亀岡店は自らPOPを作成し、来店客に対しマイボトルの意義を訴えている。

このほか、亀岡市とブリタジャパンは市内の府立亀岡高校、南丹高校と協力し、SDGs(持続可能な開発目標)や使い捨てプラスチック問題をテーマにした学生向けの教材を共同開発するなど、官民が一体となって亀岡市の「使い捨てプラスチックごみゼロ」を進めている。

桂川市長は「マイボトルの普及率は現在10─20%程度と見込んでいるが、ブリタジャパンと連携し、マイボトルを持つ人をもっと増やしていきたい。『プラスチックごみゼロ』を宣言したことで、こうした新たな連携が生まれている。ほかの自治体の参考にもなれば」と意気込む。

ブリタジャパンのマイケル・マギー社長は「『水の飲み方を持続可能にすること』をビジョンに掲げる当社は、世界各国で環境活動を展開してきた。社会の一員である企業が環境活動に取り組むことは社会的責任の一つ。より良い明日のために環境に取り組んでいくことは、社員の心を一つにし、企業の原動力になる」と協働の意義を語った。

■自然保護活動への寄付も

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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