仏オーガニック大手ビオセボンはなぜ破たんしたか④

仏ビオセボンの創業者で影の実力者、ティエリー・ブリソー氏とはどんな人なのか。ある資料によると1945年生まれで今年75歳。74年に「ダルティ」という大手の電気製品専門店チェーンにマーケティング部長として入社し、4年で退社した。80年、独立してステレオや電子機器を扱うチェーン店「ナザ(NASA)」を設立し、3年で50店を開いた。(在パリ編集委員・羽生のり子)

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1980年代に創業した家電チェーンも破たん

フランス国内のビオセボン店舗

ナザの創業資金は、個人投資家からの出資と銀行からの融資だった。ブリソー氏は弁が立ち、融資を受けるのがうまかったという。83年には、株の51%をパリバ銀行系で重金属機械大手の「フィーヴ・リール」に売却した。その売却益を使って2年でさらに70店を開店した。ダルティを越えることが目標で、当時のモットーは「週に1店舗開店」だった。

86年初頭、フィーヴ・リールは5000万フラン(約9億4500万円)を資金投入し、85年度は1000万フラン(約1億8900万円)の利益が出ると5月に発表したが、その1か月後には、一転して7340万フラン(約13億8700万円)の赤字に修正した。

ナザ系列には100社以上に銀行口座が100以上あったこと、融通手形を乱発し、出費を貸方に計上するという粉飾をしていたことが発覚した。ナザの負債は10億フラン(約189億円)に達した。被害はナザに融資していたバークレイ、BNPなどの銀行のほか、メーカーのフィップス、トムソンなどにも及び、1社あたり4000万フラン (約7億5600万円)以上の損失を被ったという。

その後、フィーヴ・リールはナザの売却を決め、買収元に魅力的に映るようさらに資金を投入し、持ち株率を69.3%にまで上げた。その効果があってか、同年9月、会社再建のプロ2人が買収を提案したが、「フィーヴ・リールが把握していない重大な事実がわかった」ため2人とも降りてしまった。その後、ナザは会社更生法を申請した。

今回のビオセボンの買収でも、同じようなことが起きている。有力候補のズアリ家とは一度交渉が決裂している。同じく買収を提案していたオーガニック専門店のナチュラリアは、「経営に問題があることが分かった」として、買収候補から降りた。

ナチュラリア側の交渉担当者は大手スーパー「モノプリ」の元社長だった。食品流通のプロが断念せざるを得ない不都合があったと推測できる。

ビオセボンでは役職に就かず

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