■世界のソーシャルビジネス アジア・オセアニア編 ニュージーランド

ニュージーランドは2017年、1017人の難民を迎え、今後も受け入れ数を増やす方針だ。そんな中、元難民の若者がTシャツを製作・販売するユース・バタフライズ社を設立。テクノロジーを活用したTシャツで難民への理解を促そうとしている。(ニュープリマス=クローディアー真理)

ユース・バタフライズの創設者、ヨビサンさん(左)とミラードさん。着ているのは「ペーパー・ボート」のTシャツだ

ユース・バタフライズは15人以上の元難民の若者から成る。手がけるシャツの第一弾は、ボートピープルとしてスリランカから脱出した、ヨビサン・ラジャラトナムさんによる「ペーパー・ボート」と、内戦を逃れ、夜に逃避行を繰り返したスーダン人、イザダインさんによる「ムーン・アンド・スターズ」だ。

命からがらたどり着いた再定住先でも、難民の苦労は尽きない。受け入れる側が難民に偏見を持っていたり、理解不足で満足のいく支援ができなかったり、というのが理由の一端だ。

これらの解決には理解を深めてもらうのが一番と、ヨビサンさんと、同じく元難民のミラード・アーシディさんは、難民の経験を伝えるTシャツを作るユース・バタフライズを立ち上げた。

同社のTシャツは、難民理解のためのパワフルなツールだ。あしらったデザインのみならず、すそに付けられたQRコードが物を言う。コードをスマートフォンでスキャンすると、デザインのもとになった、難民本人がつづる経験談を読むことができるのだ。加えて、現在開発中のTシャツ用のAR(拡張現実)アプリが完成すれば、Tシャツの絵柄は動くようになり、ナレーション付きのビデオも見られるようになる。元難民がかいくぐってきた苦難をシェアできれば、社会は難民にもっと寄り添うことができるようになるに違いない。

トラウマ乗り越える力に

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