9月に、ニューヨークで開かれた国連総会。この中で注目すべき初めての試みが行われました。日本があるトークセッションを受け持ち、その模様が全世界に発信されることとなったのです。(フジテレビCSR推進室長・吉川裕介)
今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中であらゆる光景が塗り替えられました。国連総会も然り。毎年、総会の会場では各国の首脳が次々と登壇し、演説を繰り広げていましたが、今年はコロナの影響で初めてビデオ演説となりました。いつもは総会を盛り上げるためのいくつかのプレイベントが国連本部で行われていましたが、今年はこれも中止。その代りに4つのトークセッションが設けられ、オンラインで世界中に配信されることになったのです。

そのひとつ、SDG Media Zoneを日本が担当することになり、8月下旬にフジテレビのスタジオで収録が行われました。
国連が定めたSDGsの推進をめざすメディアの枠組み、SDGメディアコンパクトには世界中で110社以上のメディアが署名していますが、日本では現在32社が署名しています(10月20日現在)。あまり知られていないかもしれませんが、実に4分の1を占め、世界で一番多い数なのです。日本に白羽の矢が立ったのは、こういう理由からでした。
今回のセッションは国連広報センターの根本かおる所長の進行のもと、朝日新聞、ハフポスト、フジテレビが参加、一般から現役女子大生も加わりました。「SDGアクションの拡大をめざして:新型コロナウイルス感染症の時代におけるメディアの役割」と題して行われたセッションでは、日本のメディアのSDGsへの取り組み事例が紹介されるとともに、メディアが果たすべき役割について議論されました。


フジテレビは2018年から、世界初のSDGsに関するレギュラー番組「フューチャーランナーズ」(毎週水曜日22・54~)を放送していますが、木幡美子CSR推進部長は「一人一人がSDGsを身近なこととして考えて欲しい。この番組を通じてたとえ小さな一歩でも世界を変えることができれば」と語っています。
ハフポストの担当者は「我々のミッションのひとつはニュースを『自分事』にしてもらうこと。そうすることでユーザーは、フェイスブックやツイッターで拡散し、SDGsのメッセージは世界中に広がる」と語りました。また朝日新聞の担当者は「SDGsを通じてそれぞれの社会問題が実は関連していることを読者に伝えることができる。実は根っこの部分でつながっていると分かれば、違う考え方や対話が生まれる」と指摘しています。
日本のメディアに求められること