SDGsランキング、独自計算すると日本は「54位」(下)

ベトナムは3つの目標をすでに達成

この3国の中、日本とも縁が深いベトナムの結果についてさらに詳しく見ていきましょう。特筆すべきは目標を達成したことを示す「グリーン」のゴールが3つもある事です。

4ゴール以上「グリーン」を達成している国はわずか6か国しかないので、ベトナムのSDGsスコアが高い(49位/166か国中)のもうなずけます。

グリーン評価のゴールは、ゴール4「質の高い教育をみんなに」、ゴール12「つくる責任、つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」です。特にゴール4「質の高い教育をみんなに」が「グリーン」であることに注目して下さい。

このゴールはSDGsスコアとの相関が高いうえに、同じく相関が高いゴール1「貧困をなくそう」、ゴール3「全ての人に健康と福祉を」、ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」、ゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」と高い正の相関関係を持ちます。

ベトナムはこれらゴールの評価がまだ低いですが、全て上昇傾向です。ベトナムは先行して教育に投資を行い、その成果が様々なところに波及しているため、SDGsのスコアが高いというのが真の理由だと考えられます。

この先ゴール1、3、6、7の評価が上がる事が期待されますので、ますますSDGsスコアも上がるでしょう。気になるのはOECD諸国が苦手なゴール12「つくる責任、つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」の2つがグリーン評価という事です。

GDPが増えるとこの2つのゴールの評価が下がる危険があるため、ベトナムに期待されることは、ゴール12、13の評価をキープしつつSDGsのスコアを上げる事であり、それを達成すれば世界の注目の的になると思われます。

SDGインデックス&ダッシュボードの弱みは古いデータを使わざるを得ない事です。新しく・正しいデータの入手については、レポートを作成している側もエグゼグティブサマリーに上げている重要な問題点です。正しく進捗を図るためにもデータ入手と活用に関する社会起業家が出てくることを期待しています。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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