アライアンス・ブーツ社の従業員エンゲージメント――下田屋毅の欧州CSR最前線(39)

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CSRを推進する上で、社内へのCSRの浸透が非常に重要となる。今回、欧州を中心に25カ国で50事業部門、10万人以上のスタッフ、約3千の薬局を展開しているアライアンス・ブーツ社(本社スイス)のCR(企業責任)部長であるリチャード・エリス氏に、従業員のエンゲージメントについての取り組みを聞いた。(在ロンドンCSRコンサルタント・下田屋毅)

アライアンス・ブーツは、CSRをトップダウン、ボトムアップで推進ができている欧州のCSR先進企業である。しかし、社内でCSRが推進できる仕組みがもともとあったわけではないようだ。ではリチャード・エリス氏は、CSRを推進するために社内で何を実施していったのか。

エリス氏は、「CSRの推進には、従業員のエンゲージメントが重要となる。従業員の専門知識を活用して、ビジネス全体でコスト効率の良いCSRに関する解決策を提供できることが必要」だと語る。また、「従業員は企業にとって重要な資産であり、すべてのCSRに関する行動や変革は、従業員と一緒に実施する必要がある」と言う。

従業員に対する効果的なコミュニケーション技術を使用すると、より持続可能なビジネスの構築に向けた従業員の知識の蓄積やスキルアップに導くことができる。エリス氏は、それらを実施する方法として以下を上げている。

1)従業員が、サステナビリティのアジェンダを理解し、日々の役割にそのアジェンダを組み込む
2)金銭的報酬、またそれ以外の報酬を使用することによって、CR(企業責任)の仕事に従事する従業員を奨励する
3)すべての企業活動に渡ったCR(企業責任)の知識の移転を確認する。社内のCSRチャンピオン(擁護者/推進者)のネットワークを活用し、さらにそこから得た学びの活用

■従業員エンゲージメントの仕組み
アライアンス・ブーツでは、従業員に対して日々のコミュニケーションを実施、その中で学びも得ることができ、さらにそれを全社的に活用し、ビジネスの拡大にも役立てているという。

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下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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