海ごみ問題に貢献、スペイン発ブランドECOALF

【連載】エシカルファッションの旗手たち

数あるサステナブルブランドの中でも、今年春にスペインから上陸した「ECOALF」(エコアルフ)は、その徹底したリサイクル・システムと、デザイン性において、際立った魅力を放っている。何より、創業者であるハビエル・ゴジェネーチェ氏の熱い思い、ブランドを立ち上げる強い動機が私たちの心を打つ。

「それまで持っていたブランドを2008年に売却し、これからはサステナブルな活動を展開したいと考えた。これまでと異なった方法でファッションシステムに配慮する、新しい時代を作るブランドを作りたかった。なぜなら、ファッションは世界で2番目に環境を汚染している業界だから。リサイクル素材で作るサステナブルなブランドを作ろうと思った」 

こう語るゴジェネーチェ氏は、ちょうどそのころ2人の息子が生まれたばかりだった。その長男のアルフレッドの名前を冠してブランド名ECOALFは生まれたという。

未来を感じさせる素敵な物語だ。通り一遍のマーケティングの作業からは生まれえない、パーソナルな熱い想いが生み出す、強いスピリットが凝縮したブランドと言える。

アジア初の旗艦店が東京に誕生するというニュースが流れたのは3月、そして5月には3店舗目となる二子玉川店が誕生。コロナ禍の状況下での上陸となったのだが、地球規模でパラダイムシフトが起こった後の「ウィズコロナ」時代には、サステナビリティが必須条件となる流れの中で、まるで来るべき時代に備えるかのような上陸のタイミングが、なんとも象徴的で予言的に思える。

店内は、コンクリート、鉄、木、土、石など、リサイクルできる素材、自然の素材を用いて構成されている。店内に並ぶ商品はリサイクル素材や環境負荷の低い素材のみで作られ、シンプルで長く着られるデザインに徹している。

「ECOALF 渋谷」では希少価値の高い「伊達冠石」を入り口正面に展示
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生駒 芳子(ファッションジャーナリスト)

ファッションジャーナリスト、アート・プロデューサー。VOGUE、ELLEの副編集長を経て2008年より「マリ・クレール」の編集長を務め、独立。ファッション、アート、デザインから、社会貢献、クール・ジャパンまで、カルチャーとエシカルを軸とした新世代のライフスタイルを提案。地場産業や伝統産業の開発事業、地域開発など、地域創生に数多く取り組む。2018年より、伝統工芸をベースにしたファッションとジュエリーのブランド「HIRUME」をスタートさせる。 アンダーグラウンド(モデル冨永愛個人事務所)代表、三重テラスクリエイティブ・ディレクター、日本エシカル推進協議会副会長、内閣府・消費者委員会委員、江戸東京きらり委員、東京2020ブランドアドバイザリーグループ委員、WEF(Women's Empowerment in Fashion)理事、認定 NPO 法人サービスグラント理事など。 連載:エシカルファッションの旗手たち

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